みやびです。先日、国立がん研究センターなど日英米韓の共同研究グループが、喫煙による遺伝子変異の蓄積に関する研究結果を発表しました。これにより、喫煙と肺がんリスクが改めて見直されたことになります。今日はタバコの発がん性物質と細胞のがん化についてのお話です。久々に得意分野!
よくタバコには数千種類もの有害物質が含まれていて、それが原因で肺がんリスクが増加するとか、そんな表現をよく耳にしますよね。
実際にタバコが体にとって良くないのは漠然と刷り込まれているはずですが、実際に細胞レベルでどのようなダメージが生じ、どんなことが起こり、どうしてがん化してしまうのかを解説していきます。
※長くなってしまいそうなので数日間に分けて解説していきます。今日は発がん性物質と代謝についてです。
▼タバコとがん細胞シリーズ完結!
タバコには有害物質が含まれています、という表現をしていると思ったら、タバコの発がん性物質が…、という言葉を目にしたりと、タバコに関する記事を読んでいると、様々な言葉を使ってタバコの有害性が言及されています。
発がん性物質というのはその名の通り、細胞に何らかのダメージを与えたり遺伝子変異を引き起こすことにより、細胞をがん化させる恐れのある物質を指しています。
一方で有害物質というものは、健康又は生活環境に係る被害を生ずる恐れのある物質を指すことで、この中に発がん性物質も含まれています。
タバコには4,000種類の有害物質が含まれていると言われていますが、実際にその中で「ヒトに対して発がん性がある」ことが認められている化学物質は以下の数種類になります。
中でも特に発がん性が高い化学物質が一番上に記載したベンゼンです。
世界保健機構(WHO)の下部組織、国際がん研究機関(IARC)が公表している発がん性物質リストにおいて、ベンゼンはグループ1の「発がん性がある」に該当しています。
実際に、ベンゼンの暴露量と急性骨髄性白血病による死亡との間には用量依存的な因果関係が認められています。
ベンゼンが細胞のがん化を促進する要因としては、ベンゼンから生成される反応性が非常に高いフェニルラジカルによるものだと考えられています。
ラジカルを説明していると眠くなりそうですが、簡単に言うと、電子的に不安定な物質です(笑)要はかまってちゃんということですね!このラジカルがDNAにかまってかまってーとすることで、DNAが耐えきれずにダメージを負ってしまうのです。
紫外線によりDNAが傷ついて皮膚がんになる、とかいう話と同じで、ベンゼンが体内で化学変化する過程でラジカルが生成され、DNAが損傷し、その修復に失敗して細胞ががん化する、という流れです。
またこれとは別に、生体内に取り込まれたベンゼンは体内で代謝されますが、その際に細胞に何らかの障害をもたらす代謝産物が生成されている可能性も指摘されています。
お勉強熱心な人のために、代謝について少しだけ。
化学物質が体内に取り込まれると、肝臓を始めとする様々な臓器で化学変化が生じます。これを代謝といいますが、基本的には物質を無毒化して体外に排泄するための仕組みですが、時として、化学変化の過程で有害な物質へと変化することがあります。
分かりやすい例でいうと、お酒がそれにあたります。お酒の主成分であるエタノールが体内に取り込まれると、肝臓の酵素によってアセトアルデヒドに変換されます。この時点では有害です。さらに、アセトアルデヒドは酢酸へと形を変え、最終的には水と炭酸にまで分解されます。ここで初めて無害になります。
このように、体内に取り込まれた化学物質は何度も形を変え、無害な物質へと変換されていきます。
ベンゼンの例でいうと、最終的に無害な物質へと変換されるとしても、その途中経過で細胞に有害な物質が生成されることもあり、それらが発がんに関与しているのではないかと言われています。
ということで、明日は「がん細胞とは一体何者なのか?」について解説していきます。
▼タバコとがん細胞シリーズ完結!
← みんな知恵が集まっています。
いろんな人の禁煙日記を読み、禁煙開始に向けて準備することが最も近道です。
※1本平均5分、1箱420円、1本で寿命-12分(男性)