みなさんがKALDIとかPLAZAとかで見かけるような海外製品。
ちょっとしたグミが300円近い値段がしたり、缶ジュースが200円以上したり、高いイメージがありますよね。
でも結局は買い手と売り手の価格交渉次第みたいなところはあります。
商品を輸入する過程の中で、どこからどこまでを売り手と買い手が負担するかを決める必要が出てくるのですが、その時に避けて通れないのが受け渡し条件というものです。
受け渡し条件というのはインコタームズ2010という貿易のルールに定められた11個の条件のことを言うのですが、商社に入社して1年目の後輩がその受け渡し条件が複雑で分からなくなると言っていました。
時間が経てば嫌でも覚えることになるのですが、今までも同じような悩みを抱えた人が沢山いたので、商社で働いていた経験を生かしてすっごく簡単に説明しようと思います。
という事で、貿易の時に必ず覚えておきたい受け渡し条件を書いていきます。
先日、社会人になったばかりの後輩とご飯に行ってきました。
仕事は何をしているのか聞くと、商社で働いています!とのこと。
まがいなりにも僕も昔は商社で働いていたので、先輩面して後輩にこう言いました。
分からないことがあったら何でも聞きなよ! |
こういうことを言う時の僕は基本的に役に立ちません。
質問されても答えらないようなことを言われるのかなと思ったら後輩が言いました。
FOB・CFR・CIFが複雑で未だに分かりません(汗) |
FOB・CFR・CIFというのは貿易する上での受け渡し条件のことを言います。
思わず、え!?って言ってしまいました。もう入社して1ヶ月は経っているはず・・・
商社で働いていて「受け渡し条件が複雑だから分からない」ではぶっちゃけ済まされません。
でも、確かに最初はゴチャゴチャになって何が何だか分からなくなるので僕も当時の上司に聞いたりして勉強しました。
なぜなら、これらの受け渡し条件を理解しておかないと、商品のコスト計算を間違えてしまい価格交渉どころではないからです。
商品を海外から輸入して国内で販売するとは言っても、商品の価格と運送料だけではありません。
商品を製造して、船に積み込んで、海上を運送して、日本で荷下ろしして、港から各地にトラックで運ぶなどなど、様々な過程があってその全てに費用が掛かります。
それらの過程で発生する費用を売り手と買い手のどちらがどこまで負担するかを踏まえて価格設定をするのですが、そのどこまで負担するかどうかに関しては国際商業会議所(ICC)によって取り決められたルールがあります。
この事をインコタームズ2010というのですが、まずはそういう国際的な貿易取引に関するルールがあるんだという事を覚えておいてください。
そしてこのインコタームズ2010には11個の貿易取引条件があります。
なんのこっちゃ分からなくなる気持ちは痛いほど分かります(笑)
ですが、基本的にはよく使用される下記の4つさえ覚えておけば大丈夫だと思います。
それでは、僕が無理矢理簡単に説明してみますね。
分かりやすくするために、以下の条件で話を進めていきます。
EXWというのはEx work(イーエックスワーク)の略で工場渡しのこと。
輸出者(売り手)が、輸出者の施設もしくは指定の場所(製造工場や倉庫など)で商品を輸入者(買い手)に委ねた瞬間に引渡しの義務を終えることです。
売り手は、商品を引き渡す時に、トラックなどに積み込む必要もないし、輸出通関をする必要もありません。
このEXWでの取引では、売り手にとって最もリスクと費用が少ないというメリットがあります。
期日までに商品を渡す準備をするだけです。
簡単に言えば、輸出者(売り手)が商品を工場で渡した時点で輸出側の仕事は終わり!その後にかかる費用とか破損とか一切知りませーん、みたいな感じです。
つまり、輸入者がしなければいけない仕事は以下の通り。
FOBというのはFree on Board(フリーオンボード)の略で本船渡しのことです。
貿易では結構ポピュラーに使われている条件です。
FOBは、売り手が指定船積港で商品を引き渡した時点で売り手の引渡しの義務を終えることです。
EXWと違って、輸出通関の手続きは売り手が行うことになります。
ですが、売り手の義務はここまで。
引渡し場所は港ですので、そのあとに掛かる費用(船賃・破損)については全て輸入者(買い手)が負担することになります。
簡単に言うと、輸出者(売り手)が商品をロサンゼルス港まで持って行って商品を引き渡したら輸出側の仕事は終わり!その後に掛かる費用とか破損とか一切知りませーん、みたいな感じですね。
つまり、輸入者がしなければならない仕事は以下の通り。
CFRというのはCost and Freight(コストアンドフレイト)の略で運賃込みでの取引の事です。
CFRは、よくC&FやCNFと言われたり書かれたりしていますが、CFRで覚えましょう。
この受け渡し条件は、売り手が商品を船に積み込み輸入港に到着するまでの運賃を負担することを言います。
船の運賃を負担してくれるということは現地で手配もしてくれるということ。
日本で輸出国からの船を手配すると割高になるケースがあるので現地で手配をしてもらえるのはメリットです。
簡単に言うと、輸出者(売り手)が工場や倉庫での積み込みとロサンゼルス港から横浜港までの運賃を負担しますよ、これから国内でかかる費用と保険はかけたかったら勝手に掛けてねーんって感じです。
つまり、輸入者がしなければならない仕事は以下の通り。
CIFというのはCost, Insurance and Freightの略で運賃と保険料が込みでの取引のことです。
この条件は、売り手が商品を船に積み込み輸入港に到着するまでの運賃と海上保険料を負担することを言います。
簡単にいうと、先ほどのCFRの条件に保険料まで負担してくれるんですねって感じです。
その代わり、万が一商品にダメージがあった場合は保険の求償は海外サイドの保険会社であることがデメリットになります。
破損などの商品のダメージを発見できるのは輸入港についてからになるので、現物を見ることができる輸入国サイドの保険会社がいいのは理解できると思います。(海外サイドでは写真だけでのやり取りになってしまい不便が多い)。
CIF条件下で輸入者がしなければならない仕事は以下の通り。
ここまでEXW・FOB・CFR・CIFの4つの取引について書いてきましたが、少しでも理解できましたでしょうか。
もちろん、先ほども言ったようにこれら4つ以外にも条件はありますが、僕が業務をしていた時にポピュラーだった取引条件がEXW・FOB・CFR・CIFの4つでした。
売り手との条件は、EXWなのか、それともCIFなのか、を理解して諸々のコスト計算をしっかり行わないと、とんでもないしっぺ返しを食らうことになってしまいますよ・・・。
僕は昔、CFRの取引をしていたのに、CIFと同じだと勘違いして海上保険をかけ忘れてめちゃくちゃ怒られた経験がありますから・・・。