地震などの自然災害が発生すると、断水などの影響によって近所のスーパーやコンビニで水の買い占めが発生し、困ってしまいます。
こと、アウトドアにおいても「水はお茶になるが、お茶は水にならない」わけですから、緊急時に飲料水の中でも真っ先に水がなくなるのは必然であり、仕方ない事かもしれません。
特に、コメを主食とする日本人にとって、炊飯に欠かすことのできない「水」ですし、水分補給という面だけでなく、食事や洗濯にも水は必須となるわけで、水がなくて困ってしまう場面は多々あるでしょう。
じゃあ逆に、水以外で炊飯した米は食べられないほどまずいのか?という点が気になります。
コンビニやスーパーで水が買い占められて、緑茶やコーヒーやスポーツドリンクだけが残っていた・・・そんな状況から「美味しく食べられる米」が炊飯できるとしたら、覚えておいて損はないですよね!
というわけで、実験してみます。
もし今すでに、地震などの自然災害に遭遇し、水がなくて困っているという方が記事を読まれているかもしれませんので、まずは結論から先にご紹介します。
是非参考にしていただければと思います。
スポーツドリンクや、コーラ、サイダーなど、「糖分」を含んだ「甘い飲料水」は炊飯に適していません。とりわけ、エナジードリンクなどはケミカルな味が凄いです。
液状の飲料であればどんなものでもご飯は炊けますが、水分が蒸発して糖度が濃縮されてしまい、ご飯はベタベタ、味も物によっては正直言って飲み込めないくらい美味しくない状態になります。
しかし反対に「糖分の無い飲み物」であれば、美味しくなくとも食べられる味になりますし、おかずと一緒に食べられるさっぱりした味になため、緊急時は「お茶(緑茶・麦茶・紅茶)」や「炭酸水」で炊飯するのがおすすめです。
ちなみに、「牛乳」で炊飯してもさほど苦労なく食べることが出来ますし、オレンジジュースやトマトジュースなどであれば、炊き込みご飯のようになり、比較的美味しく食べられます。
というわけ、水以外の飲料としてスーパーやコンビニに売られている定番の飲み物の中から、炊飯に適していそうな「甘くない飲み物」をチョイスしてきました。
水で炊いたご飯が100点だとして、それぞれの飲み物で炊いたご飯の点数を評価してあります、参考にしてください。
では、それぞれの味や香りなど、食味について紹介していきます。
※生米1合に対して、水は一般的に200mlとされています。水以外の飲料の場合、米が吸収する量が違うため、美味しく炊くにはちょっとだけ水分量の調整が必要ですが、今回は実験の為全てこの一般的な比率で行なっています。実際に炊飯する場合には、下記の情報を参考に微調整してください。
今回リストアップした「水以外の飲み物」の中でも、最も水に近いのが炭酸水でしょう。まあ、炊く前からすでに「これは大丈夫でしょ」という感じが漂ってます。
生米に炭酸水を注ぐと猛烈に泡立ちます。
炊き上がった感じは、普通の水で炊いたご飯と変わりませんね。
さて早速ですが、炭酸水で炊いたご飯を食べてみましょう。
うむ。完全に「いつものご飯」です。
水で炊いたご飯よりは、ちょっとパサつく感じがしますので、炭酸水でご飯を炊く時は水よりも多めに入れて炊くのが良いかもしれません。
全くもって問題なく食べられます。ふりかけが欲しい。味噌汁を使って「ねこまんま」にして美味しくいただきました。
水が買い占められていたら、まずは炭酸水の入手が先決ですね。
地震などの自然災害によって、スーパーやコンビニの水や炭酸水が買い占められてしまった場合、次の買い占めターゲットにあげられるのは「お〜いお茶」や「生茶」や「綾鷹」といった、ペットボトルに入った緑茶では無いでしょうか?
緑茶でも美味しいご飯が炊けるのであれば、水がなくても緑茶でかなり対応出来ますよね。早速試してみましょう。
生米に緑茶を注ぐと、この時点ですでにお茶漬け感が漂ってますね。
緑茶で炊いたご飯は、どことなく玄米っぽい色をしています。
さて早速ですが、緑茶で炊いたご飯を食べてみましょう。
炊き上がったお米の色は、赤酢の酢飯のような淡い茶色なので、純白のご飯に慣れている人からすると多少違和感があると思いますが、味の方は全く問題ありません。ほぼ「いつものご飯」です。
反対車線に渡ったら「いつものご飯」くらいの距離です。
お米のふっくら具合や食感も、水で炊いた時とほぼ変わりません。
炊いた米だけを口に入れてよ〜く噛むと、若干遠くに緑茶っぽい苦味が感じられますが、ふりかけをかけたり味噌汁と一緒に食べたら、もはや普通のご飯と違うのは見た目の色だけです。
さて、先ほどの「緑茶」で炊いたご飯が想像以上に美味しく、いつも食べている水で炊いたご飯と遜色のない味だったので、緑茶以外のお茶でもご飯を炊いてみて、お茶ならどんなお茶でも美味しいご飯が炊けるのかについて検証していきたいと思います。
お茶の中でも、比較的緑茶に近い味わいのほうじ茶で炊飯に挑戦です。
生米にほうじ茶を注ぐと、ほうじ茶特有の香ばしさが漂います。緑茶より期待!
色は緑茶の時と同様に玄米のような茶色ですが、緑茶よりも炊き上がった時の香りが素直で、より「いつものご飯」に近い感じがします。
さて早速ですが、ほうじ茶で炊いたご飯を食べてみましょう。
やはり香りが良いですね。
玄米のようなな香ばしさになるので、全く違和感がありません。味も、目を瞑って食べたら完全に「いつものご飯」ですね。緑茶で炊いたご飯よりも、より水で炊いたいつものご飯に近いです。
しっかり味わって食べても、違和感を感じません。タクアンなどのお漬物と一緒に食べると非常に美味しいです。驚きました。
災害などで水を買い占められてしまって、お茶でお米を炊くしかないなら「ほうじ茶」が最強かと思います。水の消費を節約するために、あえてほうじ茶で炊いてみてもいいんじゃないか?ってくらい安心できる味です。
さて、お茶の中でも比較的「クセが強い味」の烏龍茶でも、お米を炊いたらどんな味になるのかを実験しておきたいと思います。
水の買い占めが発生してしてしまうような自然災害が発生してしまった場合、炊いていは緑茶や麦茶から消えて行きますので、烏龍茶でも美味しいご飯が炊けるのであれば、覚えておきたい知識ですよね!
さて、どんな感じにご飯が炊けるのでしょうか?
生米に烏龍茶を注ぐと、「この匂いは・・・お米と合わないかもな〜」っていう感じが漂います。炊飯中も「あったかい烏龍茶の匂い」が部屋に充満します。
軽く不安になりますね。
炊き上がった瞬間「商店街のお茶屋さんの前を通った時」のような、お茶の良い香りがフワァっと立ち上がります。
緑茶やほうじ茶と違って、かなりお茶の色が濃く出ているのが特徴です。
さて早速ですが、烏龍茶で炊いたご飯を食べてみましょう。
烏龍茶の匂いがかなり強いため、水で炊いたお米とは結構違った風味になりますが、これが意外と美味しくて、特にキムチなどを合わせて食べたら、普通の白ご飯よりも美味しく感じました。
水で普通に炊いたお米から感じる「糖質の甘み」が、烏龍茶によって緩和されているからか。唐辛子の味や油の旨味とマッチして。すごくさっぱり美味しく食べられます。
普通の水で炊いた米に近いか?と言われると、緑茶やほうじ茶よりも遠くに感じますが、こと「炊いた米の美味しさ」という点ではかなり高評価です。十分食べるに値する味になっています。
震災などで水やお茶が買い占められても、烏龍茶は比較的残りやすいので、烏龍茶でお米を炊いても十分美味しく食べられるという知識は、今後のためにも覚えておいて損なし!って感じですね。
さて、ここまで炭酸水、緑茶、ほうじ茶、烏龍茶と、様々なお茶系飲料でお米を炊いてきて、そのどれもが「水で炊いたご飯と遜色ない美味しさ」であることが判明したわけですが、ジャスミン茶はちょっと不安ですよね。
自然災害でもジャスミン茶が買い占められる時ってのは、おそらく水や緑茶といったいわゆる汎用性の高い飲料が品切れになっており、選択肢がジャスミン茶しかない時でしょうから、コンビニやスーパーから消えるのも比較的遅めだと思います。
今のうちに食べてみて経験しておけば、いざという時に役にたつかもしれないので、早速挑戦してみます。
生米にジャスミン茶を注ぐと、今までにない華やかな香りが広がります。
すごい雅な感じです。これで美味しければ・・・僕の中の新しい扉が開きそうです。
炊きあがりました・・・これは・・・
ジャスミンライス!?
さて早速ですが、ジャスミン茶で炊いたご飯を食べてみましょう。
お茶系飲料で炊いたご飯の中でも、最も色白で「いつものご飯」に近い色味をしています。
ジャスミン茶特有のフラワリーな香りも、おそらく炊飯による熱でかなり飛んでいるため、ほとんど気になりませんが、遠くの方で確かに感じるジャスミン感が、むしろ心地よい感じです。
タイ料理などエスニック系の米料理が好きな人であれば、おそらく緑茶やほうじ茶よりもすんなり受け入れられるはず。これは驚きです。アリよりのアリどころか、おそらく日常の料理にも活用します。
米とジャスミン茶を炊飯器に入れて、コンビニなどに売ってるサラダチキン、生姜とナンプラー(醤油でも大丈夫)を入れれば、シンガポールライス風の料理が簡単に出来そうな感じです。
ジャスミン茶でも十分美味しいご飯が炊ける。これは覚えておきたいポイントです。
まさか・・・紅茶でご飯を炊くときが来るとは・・・。
でも、実際に災害などでコンビニやスーパーの水が買い占められて、ご飯を炊く時に使える飲料の選択肢が少なくなった場合、紅茶で炊いたご飯がどれくらいの味なのかを知っておければ、選択肢も広がるってもんです。
ちょっと不穏な気配を感じますが、実験してみます。
生米に紅茶を注ぐと、明らかに「私、お米とはあまり仲良くないですわよ」とイギリス訛りの英語で話しかけられてる気持ちになります。
アフタヌーンですね。
紅茶でもお米が炊けました。思った以上に普通の感じです。
さて早速ですが、紅茶で炊いたご飯を食べてみましょう。
正直、今まで実験した「お茶系飲料」の中では、最も「水で炊いたいつものご飯」から遠いと思います。しかし、それでも十分美味しくて、食べるのに全く抵抗のない味なので安心して食べられます。
米まで徒歩3分くらいの距離です。全く問題ありません。炊飯の為の水を買うためにコンビニやスーパーに行って、ほとんどが買い占められていて紅茶しか残っていなかったとしても「ああ・・・紅茶か、残念」とは思いません。
よかった!紅茶があれば美味しいご飯が炊ける!
って思えるくらいの安心感です。フレーバーティーのアールグレイでこれだけ美味しいってことは、他の紅茶でも十分に美味しく炊けると思います。
さて、ここまでは水やお茶といった、いわゆる「和食系の食事を邪魔しない飲料」でしたから、比較的お米を炊くための水以外の選択肢としても受け入れやすい部類だったと思います。
ここからは、スーパーやコンビニで買えるし、砂糖などの甘さはないけど・・・これで炊いたらどうなるんだ?というものに挑戦です。
トマトジュース。イタリア料理などでトマトリゾットは定番ですし、パエリアなどもトマト風味に仕立てることがあると思うので、トマトジュースでお米を炊いたら、チキンの入ってないチキンライスみたいになるのではないか?と言う想像です。
これ、うまくいったら災害時だけでなくて、普段のアウトドアでも活用できそうだと思いませんか?
生米にトマトジュースを注ぐとこんな感じ。米を炊こうとしてるっていうよりは、なんだかもう「料理してる」って感じが漂ってきますね。
トマトジュースだけですが、結構上手にご飯が炊けました。見た目はケチャップライスみたいです。
さて早速ですが、トマトジュースで炊いたご飯を食べてみましょう。
見た目がケチャップライスのような感じなので、トマトの酸味や塩味がガツンど来るのかと思いきや、想像以上に優しい味で、むしろ何かおかずが欲しくなる感じでした。
ちょっとパサつきがありますね。水を入れる時と比べて1.5倍程度の量を入れても良いかと思います。
お水で炊いたご飯とは、国が違うくらいの距離感を感じますが、これはこれで完成されている感じの味であり、卵で包んだら相当美味しいオムライスになるんじゃないか?って感じです。
コンソメを入れて炊いたり、ミックスベジタブルや細かく切ったサラダチキンを入れて炊けば、超簡単にイタリア風の炊き込みご飯が作れそうなので、災害時の備えとしての知識だけでなく、アウトドア料理の知識としても役立てたいと思います。
これは、普段の料理にも活用可能な美味しさ!
「甘い飲料は炊飯に向かない」なら「苦い飲料は?」と言うことで、かなりリスキーですがコーヒーにも挑戦しましょう。
ブラックコーヒーなどは、災害時でも比較的買い占められにくく、最後の方まで残ってるタイプの飲料ですから、コーヒーで炊いたご飯が食べるに値する味であるなら、いざという時の選択肢がかなり広がると思います。
が・・・どうでしょうか?
生米にコーヒーを注ぐと、明らかに交わってはいけない何かを生み出してしまった気分になります。
しかし、ジャスミン茶、紅茶、トマトジュースなど、「これは流石にイマイチなんじゃない?」という飲み物が、水に匹敵する美味しさを生み出しているので、食べてみるまでは評価できません。
コーヒーで炊飯した米が炊きあがりました、部屋は焼きおにぎりのような香ばしい香りに包まれています。見た目も、まるで焼きおにぎりのようなオコゲ感が出てます。
さて早速ですが、コーヒーで炊いたご飯を食べてみましょう。
かなりパサパサです。水でお米を炊く時よりも、多めに入れないとふっくらした食感にはならなさそうですね。
で、いざ勇気を出して食べてみたわけですが・・・これがびっくり!想像以上に食べられる味です。確かに、お米だけで食べると、多少遠くに感じる苦味があって、それが邪魔してそこまで美味しくないのですが、口に含んだ時の香ばしさはまさに「焼きおにぎりのそれ」の感じ。
試しに、焼き魚と食べてみたのですが、相性抜群!シャケフレークなどと食べても美味しいです。油の旨みや、醤油の風味などと相性が良いので、「おかずがあるならコーヒーでご飯を炊くのもアリ」だと思います。
これは思わぬ発見。水で炊いたご飯とは別物ですが、水が買い占められていてブラックコーヒーしか手に入らなかったとしても、ご飯を炊いて美味しく食べられるんですね。
覚えておきましょう。
水で炊いたご飯を牛乳でリゾットにするのは料理として結構定番ですし、キャンプなどのアウトドアでもバーナーやコッヘルでできる手軽な野外料理として知っている方が多いと思います。
が、牛乳でご飯は炊けるのか?といった実験は、あまり聞いたことがありませんね。
水で炊いたようなご飯にならないことは重々承知ですが、牛乳でもご飯が炊けるのであれば、災害時に牛乳は水より圧倒的に売れ残りやすいと思うので、食事の選択肢を増やせる素晴らしい知識となるはずです。
うまくいってくれ!と祈りつつ、実験してみましょう。
生米に牛乳を注いたこの状態。牛乳リゾットに抵抗がある人だと結構ショッキングなビジュアルだと思います。
途中、牛乳が沸騰しまくってヤバイことになるんじゃないか?と不安になりましたが、無事にご飯を炊くことができました。
さて早速ですが、牛乳で炊いたご飯を食べてみましょう。
牛乳でご飯を炊くと、おかまと接している部分がオコゲになります。食感は結構パサパサで芯が残る感じであり、水と比べると多めに入れる必要が有りそうです。
ふんわりとバニラのような優しい香りが漂い、味自体もそんなに違和感は有りません。水で炊いたご飯と比べると、県外くらいの距離はあると思いますが、それでも十分美味しく食べられます。
コンソメと一緒に炊いたり、炊き上がったご飯にバターやチーズを載せたりしたら、おかず無しで美味しく食べられそうな予感がします。
牛乳でもご飯が炊けるってのは、比較的飲料の中でも災害時に売れ残りやすいので覚えて置いて損なしですね!
今回の実験によって、砂糖が含まれているような甘い味の飲料でなければ、水でなくとも十分に美味しいご飯が炊けるということが判明しました。
災害時において、断水の可能性が少しでもあると、近所のスーパーやコンビニの水は買い占められてしまい手に入らなくなります。
確かに水は、飲料として使うだけでなく、調理に使ったり、さらには体を洗ったり衣類を洗ったりと様々な用途に使用できるため、買い占めたくなる気持ちもわからなくは有りません。
しかし、生命維持に関しての水分であれば、水でなくともコーラやファンタだって水分補給は可能であり、衛生面を無視して生き延びる為だけを考えるのであれば「水」がなくとも「飲料」があれば問題ない為、近所に水がなくとも焦る必要は有りません。
ついつい「災害=水分」と繋げてしまうと、純粋な「水」を手に入れたくなりますが、そこまで水の備蓄にこだわらずとも、水分補給ができればどのような飲料でも大丈夫なのです。
水があれば白いお米が食べれるじゃん!と思うかもしれませんが、今回の実験によって水でなくとも様々な飲料で美味しいご飯が食べられるということがわかったわけで、水を使用する時の優先順位も少し変化するかもしれません。
もちろん、備えあれば憂いなしですから、余裕があれば家の中に防災用の水を備蓄して置くべきだと思います。
もし今、水が入手できなくて困っている方がこの記事を読んでくださっているとしたら、情報を役立てていただけたら嬉しく思います。