仲間内でのファッションリーダーを気取ってきたのに、ブランド名を知ったかぶって間違えてしまったが最後、その瞬間からあなたは周囲の友人たちと対等な関係を築く事はできないでしょう。
まさに、ブランド名トラップ。
あなたの自尊心を地面に叩き落とす、明確な殺意を持って誕生したファッションブランドが今、猛威を振るっています。
何があっても読ませやしないと・・・絶対に読まれてなるものかと!!
その昔・・・僕がまだ、アディダスのパチモンと呼ぶに相応しい2本ストライプの謎ジャージを履いて、得体の知れないスニーカーで近所を駆け回っていた頃・・・・・
地元名古屋の中学校では「香水」が異様なブームを巻き起こしており、モテるためには「愛用する香水」を持ち歩いていることが、学ランの第一ボタンを外していることよりも、ワックスで整髪していることよりも重要な要素となっていました。
しかし!
まだ僕は14歳、ちょっといい匂いがする液体に4000円払うくらいなら、新しいゲームソフトの方が欲しいのである・・・が、モテたいと言う気持ちも人一倍ある・・・・・。
困った僕は、実家の洗面所にあった青色の瓶の、なんて読むのかちょっとわからない文字が書かれてるけど・・・きっと親父が会社でモテるために使っていたのだ!と思われる香水に手を伸ばしたのであります・・・・・。
そして、胸をトキめかせながらの登校。
休憩時間(名古屋では放課って言います)に、その頃片思い中だった女の子から「あ!勇太くんいい匂いがする!」と話しかけられました。
願っても無いチャンス!!
ここでオシャレに敏感なところを見せつけて好感度を上げておきたい!そう思った僕は、通るか通らないかギリギリの牌を切ると言う、人生最大の賭けに出ました。
あ、これ?いいっしょ?結構昔から使ってるんだけど、久しぶりにつけてきたんだよね! |
どうだ、決まっただろう?
今思えば、中学生ごときが結構昔って、お前まだ精子の頃から香水つけてたのかよ!って話なのだが。心の中でガッツポーズをしたのもつかの間、片思い中の女の子から質問が返ってきたのである・・・・・。
女子「へ〜、それどこのブランドの香水?」
ふっふっふ、そう言われることも想定済み!しっかりとパッケージに書かれているブランド名も覚えてきたぜ!さあ、耳をかっぽじってよーく聞け!
勇太「ブヴェルガリ!(注:BVLGARI)」
一瞬で曇る彼女の表情。
結局、中学校3年間のうちに僕がその女の子とお付き合いする事はありませんでした。
今思い出しても抹消したいほど忌々しい記憶だが、こうやって記事にすることができたので、そのとき僕にM心を植え付けるほどの冷めた目つきで見てくれた女の子にお礼を言いたいくらいである。
さて、世の中には「読めないブランド名」と言うのが多々ある。これを読めなかった僕が悪なのだろうか?それとも、読めないような名前をつけたブランドが悪なのだろうか?
例えば、こんな人は流石にいないと思うのだが「LOUIS VUITTON」を知らず「ローイス・ブイットンって何?」って聞いてきた女子がいたとしよう。
よほど性格がひねくれた男子でなければ「ルイ・ヴィトンを知らないなんて、純粋な子だなぁ」思うはずである。つまり、その場では知らないことで恥ずかしいと思うかもしれないが、人生に置いて決してマイナスではないのである。
しかし!
先ほどの僕の経験談を振り返ってみると、はっきり言って大袈裟ではなく人生の汚点と呼ぶに相応しいダメージを受けているし、この記事を書いている今でも正直受け止めきれていない感もある!
なぜなら、知ったかぶりをしたからである。
そう・・・僕は一か八かの賭けに負けたのです。もうこの瞬間から、彼女と僕の関係は対等な関係ではなくなったのです・・・なぜなら僕は「知ったかぶりをした卑怯者」なのですから・・・。
僕が読めないブランド名を知ったかぶりしてたのは2001年ごろ、まだまだみんなガラケーしか持っておらず、フェイスブックやツイッターなんてのは存在しない時代でしたから、まだ助かりました。
「ブヴェルガリとか草」
なんて呟かれていようものなら、自殺だってありえます。
あんな多感な時期に、こんな尊厳に関わるような失態。確かに僕が「知ったかぶり」をしたことが悪いとは思いますが、しかし僕はこんな読めないブランド名をつけた奴らを許す事はできません。
っていうか、ここ最近の「読めない方がかっこいい」みたいな風潮にはゾッとします。どれだけ多くの人たちが、このブランド名トラップの餌食となったのでしょうか、想像するだけで吐き気がします。
いやもはや、何があっても読ませる気なんてさらさらないぜ!っていう、明確な悪意がそこにあると思うんです。お前の血は何色だ!!っていうくらいのね。
青春の傷も癒えぬ22〜23歳のころ。僕は色々あってついに地元の名古屋を出て、花の都大東京に進出することを決めました。
気持ちの中では、東京生まれヒップホップ育ちだからって、名古屋生まれ尾張ヒールズ(ビバリーヒルズ)の俺らをなめるなよ!!てめーらとは対等だ!って思ってました。
でも、東京に住み始めて1週間ほどで、この熱い気持ちは崩れ落ちました。
東京で出来た友人に言われたのです「マルイ行こうぜ!」って。もちろん舐められたくない僕は「いいぜ!」ってな具合に返し、こっそりグーグルマップでマルイを検索して肩で風切りながら歩きます。
感の良いみなさん(主に名古屋人)ならもうお察しでしょう。
名古屋にマルイはありません。
僕は
その日
OIOIと書かれたビルを素通りしました。
その時の友人と対等な関係が築けなかったのは言うまでもありません。
さて、僕はもうOIOIの一件で心に誓いました。知らないブランド名を知ったかぶるのはやめよう!と・・・。
しかし、今までの人生を振り返ってみれば、人間というのは2つに分類されていると感じざるえません。それは、ブランド名を知っている人と、知らない人。です。まさに選民思想!
そう、僕たちはみんな、ブランド名を知っている側に周り、ブランド名をスラスラと読み上げる圧倒的な優越感に浸り、読めない人たちを天上界から音が出るほどに見下したいのであります!!
このマウンティングのせいで、僕のように一か八かで知ったかぶりをして、その賭けに負けて人生を棒に振ってしまう・・・まさに、時代の犠牲者とでもいうべきでしょうか・・・。
僕のような犠牲者を出さないために、僕が今までの人生で意中の女の子の前で失態を犯した、もしくは失態を犯しかけたブランド名を厳選して10個ご紹介します。
読めましたか?読めたとしても、それ間違ってるかもしれませんよ?
不思議なもんで大抵の場合、「流行ってて読めないブランド」ってのは女性物の方が多いですね。男性向けのブランドにも初見殺しはありますが、サブカルっぽいというかマイナーブランドの物が多いです。
「方言は部外者を判断するためのもの」などと言いますが、知らないことによって輪の中に入れないというのが、ある種のブランディングになっているのでしょう・・・。
これ、盛大なトラップです。
ほぼ100%の人が「イングニ」って読むと思いますが、これをイングニって読んだ瞬間に、あなたの立場が悪くなります。
正解は「イング」です。これ、そこら中のファッション系ビルに蔓延しているので、本当に注意しましょう。
初歩中の初歩ですが、ムージーとかモウシーとかムッシーとか選択肢が多くて困るのがコレ。オーディエンスかテレフォンがしたくなります。
正解は「マウジー」です。こちらもイング同様にファッション系ビルに蔓延し、純粋無垢な男子に恥を書かせようとスタンバイしてますから要注意です。
はいはい、こんなもの楽勝だぜ!アーカイブスでしょ?っていうような、学校で習ったことが一切通用しないのが社会というものです。英語の授業とか完全に忘れましょう。
正解は「アルシーヴ」です。とんだブランド名トラップですよね。
理科の授業なら「ヨンド」でいいのですが、先ほども申した通り学校で学んだ事は社会に出たら全て忘れてしまっても大丈夫です。むしろ、勉強しかできないような人はこの先生き残る事はできません。
正解は「ヨンドシー」です。高校生時代のホワイトデーのプレゼントで定番だった気がしますし、僕の周囲でも多くの犠牲者を出したブランド名です。
女子とデートに行くと、メンズもレディースも人気があるため立ち寄りがち。エイピーシーって読んでしまったら、それが最後のデートになるかもしれないので、予習しておきましょうね。
正解は「アーペーセー」です。フランス語ですね。クソッタレですよね本当、僕もこのブランド名で一度恥をかきかけました、寸前で罠だと気づいてフランス語読みにしたらそっちが当たりました。
もちろんエスエムツーじゃないですよ?「ま、知らないと読めないでしょ?」という、罠だとわかっているのに避けられないブランド名って感じです。
正解は「サマンサ モスモス」。
完全に初見殺し・・・っていうか、もはやこれは暗号の部類です。
数多の人類に恥を書かせた、読めない系ブランド名の絶対王者といえばコイツ。
明確な殺意を持って、ブランド名の正式な読み方を知らない無垢な人たちを殺しにかかって来ており、それでいて人気を得ているためこのブランドを避けては通れないという王道振り。
アグネス・ビー?誰が読んでもそう読めると思いますが、正解は「アニエス・ベー」です。ひなげしの花でもグラビアアイドルでもないので要注意。
手軽な価格帯、誰にでも似合うシンプルデザイン。それゆえに、多くの犠牲者を出したこのブランド。まあ、ここまで読んだ人ならわかると思いますが、エー・ブイ・ブイみたいな、ちょっとアダルト感のある読み方ではありません。
正解は「アー・ヴェ・ヴェ」。
ブランドサイトでも自虐ネタにしてるくらいですからね。改名しましょ?
素直に読めば、トゥエンティトゥー・オクトーバー。でも、今時のブランドはそんな一筋縄ではいきません。
正解は「ヴァンドゥー・オクトーブル」です。ぶっちゃけ、彼女がこのブランドにハマってたとして、ショッピングモールなどでこのブランドを見つけても買えませんよね。
だってまさか、ヴァンドゥー・オクトーブルが22 OCTOBREだとは思いませんから。
ここ最近、メキメキと犠牲者を増やしているのがこのブランド。
ファミリー向けのブランドであり、メンズレディースの衣料だけでなくキッズ向けの衣料から、晴れの日着るオケージョン系の衣料まで取り扱っているため、ファッションに敏感な世代だけでなく、もう服とかなんでもいいわ!っていう世代も犠牲者に・・・・・。
スリーキャン・フォーオン?もちろん違います。正解は「サンカンシオン(三寒四温)」です。
これ以上多くの犠牲者が出ないことを、僕は切に願っております。