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銚子市の犬吠埼から東金経由で新宿!150km徒歩旅の備忘録

2018年6月4日から8泊9日かけて(当初は3泊4日の予定だった)銚子市の犬吠埼にある灯台から東金経由で新宿まで、およそ150kmの道のりを野宿しながら歩いて帰って来ました。

その様子は全てツイキャスにてライブ配信をしていたので、見てくださったリスナーさんはもうご存知だとおもいますが、マジで想像以上に過酷な旅でした。

その思い出話を備忘録的にここに記しておきたいと思います。

今回の徒歩旅の予定

携帯電話の通話機能やライン機能を停止し、外部との連絡が基本的に取れない状態で挑んだ孤独な旅

個人的にはそれだけでも十分刺激的な旅になる予定だったのですが、今回の旅が非常にドラマチックな展開になったのは、やはり「当初予定していたルートでの進行が困難になり、日程も距離も大幅に変化してしまった」というのが大きいと思います。

当初の予定では、千葉県は銚子市の犬吠埼をスタートし、126号線と296号線使って成田方面を経由し、船橋市あたりから14号線を使って靖国通りと合流し、そのまま直線的なルートで新宿のゴールを目指すという、およそ110km前後の行程を予定していました。

1日に30kmから35km程度歩けば、およそ4日間の予定。

そう思ってスタートしたこの旅ですが、蓋を開けて見たら様々なトラブルと、僕自身の身体面における過信により、ゴールするまでに9日間を要するという、とんでもない旅になってしまったのです。

今回の旅の問題点を予め簡単に紹介するとこんな感じ。

  • 荷物が重すぎて1日20kmが限界
  • 1日20kmだと宿泊施設にたどり着けない
  • 当初のルートが使えず移動距離が150kmに増加
  • 旅の行程の半分以上が野宿
  • 足に負担がかかりすぎてアキレス腱が炎症
  • 台風に襲われた

とまあ、ここに今一度書き起こしてみても、なかなかに「想定外」だった出来事が沢山発生しました。

そんな旅の模様を、備忘録的に記しておきますので、今後「ツイキャスやニコ生でライブ配信しながら長距離を歩く」という挑戦をする方は、参考にしていただければなと思います。

用意した装備

当初の予定では、たったの100km前後の道のりを、たかだか3泊4日程度で進行する簡単な旅を予想していました(当方、中学生時代にこの程度の徒歩旅を経験済み)。

せっかくの配信だし、1回くらいは野宿しているシーンがあったほうが盛り上がるかな?」なんて、いわば演出のつもりで寝袋やマット、バーナーやコッヘルといったアウトドアギアを持っていったわけですが、実際に旅をしてみたらほとんどが野宿になってしまい、大変助けられたわけです。

そんなところも踏まえつつ、今回リュックに入れて持っていった装備をご紹介しておきます。

  • リュック(75リットル)
  • モバイルバッテリー(20100mAhを4個)
  • 充電するためのケーブルやコンセント
  • ポケットWi-Fi
  • イヤホンと延長ケーブル
  • 配信用のスマホ
  • 地図確認用のスマホ
  • 配信用の広角レンズ
  • 自撮り棒
  • サングラス
  • 地図(スマホの電池が切れた時用)
  • 着替え(行動着1セット)
  • レインウェア
  • クッカー&バーナー
  • マット
  • 寝袋
  • ヘッドランプ
  • ランタン
  • 洗剤・スポンジ
  • 片手で飲めるボトル
  • 万歩計
  • エイドキット

合計:約12kg!

水と食料を含めると15kgになる計算です。

ツイキャス配信用の機材が結構重くて、それに冬季用のマットや、多人数用のクッカーもかなり重量を感じました。

でもまあ・・・大丈夫でしょ!って思ったんですけどね、結果大丈夫じゃありませんでした。とにかく徒歩旅をするなら荷物は軽い方が良いです、10kgは絶対に切りたいです。

あったらよかった装備

今回の旅で、あったらよかったと思ったのは、ロープと洗濯バサミです。せめてロープだけでもあれば、野宿している場所で服を洗って干すことができるので、これは持っていくのが正解だと思います。

それと、ブルーシートも1枚持って行きたいところです。ロープと組み合わせれば、一時的に雨風を凌げるようになります。

普段なら、緊急時なので一時的に近くのマンションやアパートの駐車場などで雨風をしのげますが、配信をしているとそういった行為で炎上しかねませんから、こういった装備も合わせて準備しておかないと、大変な目にあいます。

犬吠埼から新宿!徒歩旅の備忘録

さて、ここからは実際に、千葉県は銚子市の犬吠埼にある犬吠埼灯台から、歩いて新宿まで帰る旅で僕が経験した様々な出来事を備忘録的に書いていきたいと思います。

出発前日


この時点では、本当に心の底から「100km程度の道のりを3日〜4日程度で歩く旅」だと思っています。まあ、これが実際にスタートしたら倍以上の日数がかかる地獄の旅になるわけですが・・・。

1日目:犬吠埼→道の駅 季楽里あさひ


※表示している地図のルートはGoogleが提示する最短ルートであり、実際に歩いたルートと違います。

東京駅からバスに揺られること約3時間。やっとの思いで犬吠埼灯台に到着しました。

ここが今回の旅のスタート地点。ゴールは弊社の事務所なので、壮大なエクストリーム出社が始まるというわけです。

で、期待を胸に配信をスタートしつつ、絶景の犬吠埼を背景に歩き始めたわけですが、開始から10分程度で配信ができなくなりました。

後でわかる事なのですが、ポケットWi-Fiは海沿いや山の中に弱く、電波不足でツイキャスやニコ生などの配信に耐えられる速度が出なくなってしまい、配信が途絶えてしまうのです。

そんな事とは知らない配信初心者の僕

このまま、誰に見られるでもなく、一人でトボトボと新宿まで歩くのか!?どんな苦行だよ・・・今回は一旦撤退して、配信できない原因を究明してから改めて旅を行うか?」と悩みました。

が、まあもうどうにでもなれだな!と腹を括り、先に進むことを決意したのです。

しかし、道は完全に産業道路。リュックすれすれの距離をトラックがビュンビュンと走り、周囲はキャベツ畑しかない・・・。

最短ルートの県道286号線を進む予定でしたが、ちょっと遠回りして一足先に国道126号線へ。

太陽が落ち始めて西日がきつくなってくるころ、時間的にも足の疲労的にも当初予定していたネットカフェまでたどり着けない事を悟りました。

仕方なく周辺の建物を調べてみると、「季楽里あさひ」という道の駅を発見し、そこで野宿することにしました。

夜ご飯は、道の駅で買ったソーセージと、コンビニで買っておいたオニギリ。トイレの水道で衣類の洗濯を行い、ベンチの上にマットと寝袋を出して寝ることにしました。

当初の予定では30km程度歩けるはずだったのに、20km歩くのがやっと・・・。しかも全然疲れていないはずの初日でコレってことは、連日歩くとなれば下手したら1日15km程度しか歩けないかもしれない。

となると、20km以内にコンビニや宿泊施設のないルート(最短コースの296ルート)を使って歩くのはリスクが大きすぎる・・・それに、常に水や食料を持ち歩いておかないと、野宿できる場所が見つかっても野宿できないかもしれない。

約100kmの道のり、1日15kmしか歩けなかったら7日近くかかってしまうぞ・・・。1日目なのに、すでに足の裏には水ぶくれができている・・・。困ったなあ・・・

なんて、不安に押しつぶされそうな初日の夜。まさに前途多難を体現するかのような状況ですから、体がどれだけ疲れていたってぐっすり眠れるわけがありません。

それに加えてこの道の駅、どうやら暴走族の溜まり場になっている様子。22時を過ぎたあたりから、駐車場の中をノーヘルで蛇行運転しているバイクが何台も集まってきました。

ああ・・・絡まれたら嫌だな・・・

そう思いながら夜は深まり、結局朝の3時ごろまで寝ることは出来なかったのです。

2日目:季楽里あさひ→光文化の森公園


※表示している地図のルートはGoogleが提示する最短ルートであり、実際に歩いたルートと違います

不安に押しつぶされて半泣きになった初日の夜が終わり、2日目が始まりました。

この日は、大きな選択を迫られた1日になりました。

少なくとも、前日の段階で「1日15km〜20km程度歩くのが精一杯」であることが判明したため、20km圏内にビジネスホテルや健康ランドやネットカフェといった宿泊できる場所がないかを探したのですが、1つも存在しませんでした。

つまり、スタート時点ですでに野宿が確定したのです。

で、進行するルートです。この日はとりあえず126号線を使って匝瑳市方面に歩き出すわけですが、ここで3つのルートに分かれるため、どのルートを進行するか決める必要があります。

  1. 県道45号と77号を使った最短ルート
  2. 国道296号を使った比較的短いルート
  3. 総武本線沿いのちょっと遠回りなルート

ここでいう①と②は、出発前に当初予定していたルートであり、1日に35km程度歩ける前提で考えていたルートです。つまり、35km程度歩かないと、コンビニもなければ野宿できそうな場所すら存在しないとうルート。

となれば必然的に、遠回りになるとしても③のルートを洗濯して歩かなければ、ギブアップしなければならない可能性が急増するという事になりますので、苦渋の決断となりましたが③の「総武本線沿いルート」で新宿を目指す事にしました。

これにより、おそらく15km程度距離が伸びてしまったと思います。

1日休めば疲れも取れるか?なんて思っていましたが、全然疲れが取れることはなく、足の筋肉はすぐに痛くなり、足の裏の水ぶくれは大きくなって痛みを伴い始めます。

とにかく無心で歩き続けました。

途中、水分補給のためによったコンビニで「お兄ちゃん、どこから歩いているの?頑張れよ〜」なんて、気さくなおっちゃんに話しかけられたりして、元気が出たのを覚えています。

歩くこと約8時間。おそらくここから5km程度しか歩けないな・・・って思うくらいの体の疲れを感じたので、近場の公園を調べて行ってみる事にしました。

明日は雨が降るという噂もあるので、今回野宿する場所は雨をしのげるような屋根がある場所じゃなければいけません。軒先のような場所では振り込んだ雨にやられてしまいますので、ちゃんと雨がしのげる感じの屋根が必要です。

屋根・・・あるといいな・・・と淡い期待を持ちつつ、今日の目的地である「光文化の森公園」という場所に到着しました。

たどり着いてみて驚きました。美しい芝生の公園で、ベンチの上には屋根もある。コンビニもすぐ近くにあって、トイレも綺麗。

ここは天国か!?

と思うほどの場所でした。

ここならしっかりと疲れを癒すことができそうだ。明日は雨の予報だし、雨が降ったら電子機器を使うツイキャスの配信はリスクもあるので、雨ならこの場所で2連泊して疲れを癒そう!

そう決意しました。

まだ、旅が始まってたったの2日目なのにこんなにも辛い。進んだ距離はたったの40km程度。ルートを変更しているので120kmくらい歩かないと新宿までは着かない。

ずっと野宿。

不安な材料ばかりで、寝る前の暗闇の中、一人悶々と考え込んで泣きそうな程に押しつぶされますが、悩んで悩んで悩みぬいている間に、いつの間にか寝ているのです。

3日目:光文化の森公園→道の駅 みのりの郷


※表示している地図のルートはGoogleが提示する最短ルートであり、実際に歩いたルートと違います。

1日目の野宿の時みたいな暴走族が現れることもなく、ぐっすりと眠ることができた2日目の野宿。

目が覚めた時にはパラパラと小雨が降っていたので、予定通り今日はこの公園でしっかりと休養をとってもう1泊し、疲れた体や追い込まれた精神状態を回復させようと思います。

お昼頃、コンビニ食料を買い出しにいき、ご飯を作って食べていると雨が本格的に降ってきました

横風が強いと降り込んでくるので、風が弱い事を祈りつつ、スマホを使ってラジオを聞いたり、動画を見たりしながら、暇を潰します。

とにかくやることがなくて暇でしたが、足が痛いので歩くのも困難です。

ベンチの上にマットと寝袋を出し、1日中寝袋の中でゴロゴロしながらスマホをポチポチ。まさに怠惰を貪るように楽しむ僕に天罰が降ったのでしょうか・・・なんと野宿していた場所の屋根が雨漏りし始めたのです。

これには困りました。

寝転がっていたベンチの上にも水滴がポタポタと落ちてきてしまうので、このままでは寝袋がグッショリ濡れてしまって使い物にならなくなってしまいます。

とりあえず、装備をベンチの上から、まだ雨漏りしてない床に移動させ、このまま気合いで夜を越せないかと考えてみたりしました。

公園の中にはもう1つ屋根のあるベンチがあったので、そちらの雨漏りの状況も調べに行きましたが、そりゃあ同じ頃に作られたものですから、状況は瓜二つといった感じで困りました。

時刻はもうすぐ日暮れ。

選択を迫られます。

足は全然回復しておらず、長距離歩くのが心配になる程度は痛い。なので、ビニール袋などに寝袋を包んでなんとか夜を越してみるか?でも、それが上手くいかなかったら、かなり辛い1日を過ごすはめになってしまう・・・20km先のネットカフェまで強引にでも移動した方が良いのでは?

様々な事を考えた結果答えが出ました。

雨の中、痛い足を引きずってでも、20km先のネットカフェまで強引に移動し、そこで疲れが完全に回復するまで何日でものんびり休んだらいいじゃないか!

お金なら会社が出してくれる!

というわけで、急遽装備を撤収し、歩くためのテーピングや、雨の中でツイキャス配信を行うための準備などをして、出発しました。

外は雨です。

少し歩いたらすぐに日が落ちて真っ暗になりました。

多少濡れても大丈夫な靴を履いていますが、これだけ雨が降ってしまうと流石にダメで、足はグッショリと濡れてしまいます。

レインコートの中は汗でベショベショ。休憩すると今度は風のせいで異常に寒い。

コンビニなどに寄ろうにも、いちいちレインコートを脱いだり、リュックのレインカバーを取るのが面倒なので、水分補給も食事も我慢

途中、ドコモショップの駐車場に屋根があるのを発見し、そこの自販機で飲み物を買ったりしながら長めの休憩。

今後、携帯を買うならドコモにしようと心の底から思いました。ありがとうドコモショップ、フォーエバードコモショップ。

その後、成東駅あたりで軽く道に迷いつつ、弱音と文句をタラタラ吐き出しながら、雨の中ゆっくりと前進しました。

相変わらず足は痛い、しかし雨は徐々に小降りに。

ふと横を見たらマクドナルドが。お腹すいたな・・・ハンバーガーとか食べたいな・・・でも、レインコートで店内を濡らすわけにいかないし、脱ぐのも面倒だな・・・と。

いやまて!

ドライブスルーで買えばいいじゃん!幸い、ポケットの中にPASMOを入れてるし、マクドナルドならPASMOでも支払えるでしょ!?

ウォーキングスルーだ!

って事で、迷惑だったかもしれませんが背に腹は買えられず、ウォーキングスルーでドライブスルーしてハンバーガーをゲット!

あの時食べたハンバーガーの美味しさたるや、今までの人生で最も美味しいハンバーガーだったように思います。雨で冷えた体に、バンズの暖かさが染み渡る!!

そんなこんなでマクドナルドから元気をもらい、雨の中の126号線を東金にあるネットカフェに向かってひた歩きます。

そこから、およそ4kmほど歩いたところで「道の駅」を見つけました。時刻は22時前後。もちろん道の駅はもう閉店していますが、目の前にはコンビニがあるので、食料や水分に不安はありません。

目的地のネットカフェまで、およそ残り5km。今のペースなら2時間弱で到着する予想ですが、足も痛いし・・・もう野宿できる場所があるなら野宿してもいいかな・・・なんて思うくらいは衰弱しています。

なので、ツイキャスを見てくれたリスナーさんに「野宿する?」というアンケートを取ってみる事にしました。

結果は「はい(50%):いいえ(50%)」

いやどっちやねん!と。

もう一度同じアンケートを取ってみたら、次は「はい(64%):いいえ(36%)」という結果になり、「道の駅みのりの郷」に雨をしのげる屋根があったので、そこで野宿してみる事に決まりました。

もう野宿なんてしたくないっていう気持ちと、ネットカフェまで歩きたくないっていう気持ちがせめぎあっていた事を強く覚えています。

この日の夜ご飯は、コンビニで買ったカップラーメンとビーフジャーキー。あとは寝酒にウイスキーです。

道の駅にはトイレがあるので、水には困りません。トイレの水で作ったカップラーメンと、トイレの水で作ったウイスキーのお湯わりを美味しくいただき、吸い込まれるように夢の中へ。

4日目:道の駅 みのりの郷→快活CLUB 東金店


※表示している地図のルートはGoogleが提示する最短ルートであり、実際に歩いたルートと違います。

朝7時。道の駅みのりの郷の従業員さんが出社し、開店準備をし始める音で目が覚めました。

従業員さんに「いますぐどいた方が良いですか?」と聞いたら「9時がオープンなので、それまでゆっくりしてください」という優しい言葉をいただきました。

ほんと、最高です

ありがとうございます。

今までで、最も清々しい朝。従業員さんの優しい言葉だけがその理由ではありません、この日の目的地は5km先のネットカフェ「快活クラブ東金店」。

たった2時間程度歩けば、屋根も壁もある安全な場所で、漫画を読んだりジュースを飲んだりしながら、体を休めることができる!なんて素晴らしい日なんだろう。

前日の、雨の中の進行により、靴はグッショグショ。案の定乾いて居ないのですが、衣類は乾いた物を1セット準備してあったので、靴下の上からジップロックを履いて、その状態で靴の中に足を入れて靴の水分で足を濡らさない作戦です。

足の裏の水ぶくれの原因は、湿気で足の皮膚が柔らかくなって擦れることですから、とにかく足を濡らさないというのは水ぶくれ対策の初歩の初歩。

というわけで出発です。

今日は目的地までたったの5kmですが、2kmほど歩いただけでもう足が痛い。連日の移動のせいで、疲労が蓄積されており、頻繁に休まないと荷物を背負ったまま立ってられないくらい痛いのです。

ちょっとずつ、ちょっとずつ歩きました。

出発から3時間程度、あっという間に目的に到着です。普段は1日に8〜10時間程度歩いているので、なんだか「もう目的地!?やったぜ!」って感じでした。

ネットカフェの中では静かにしてなければいけないので、ツイキャスやニコ生などの配信はできません。なので、目的地に到着してから1時間ほど、駐車場で配信してから入店しました。

ネットカフェですから、目の前にはインターネットに接続されたパソコンがあります。今まではスマホしかなかったので、地図上の細かい情報を見るのが難しく、ルートの選択になんども困りました。

僕の大好きな漫画がたくさん置いてあるネットカフェですが、まずは漫画を我慢して明日のルートを考えます。

東金のネットカフェから千葉市街地方面へ行くルート、野宿できそうな場所が全然ありませんでした。ネットカフェも、健康ランドも、カプセルホテルもありません。

まあ、そろそろお風呂にも入りたいし、連日の雨でダメになった衣類も洗濯したいし、ここは一旦ビジネスホテルでしっかり休んでみよう!という作戦に決定。

しかし、その移動距離は前人未到の1日25km。

今回の旅では、20km歩くのもやっとであり、正直25kmとか・・・無理なんじゃないか?と不安になって居ました。でも、25km先のビジネスホテルよりも近くに夜を越せそうな場所が無かったのです。

これは・・・辿り着けなかったら敗退か!?って、めちゃくちゃ不安になりました。不安になった時は・・・これですね。

全てを忘れさせてくれる虚無の酒「ストロングゼロ」です。

「不安になったらコレ」とか冗談交じりに言ってますが、現場では本当に泣きそうになってました。

足があまりにも痛いのでペースを落としたいのですが、もうすでに予定の倍近くの日数を必要としている状態であり、早く帰りたいという気持ちや、資金的な面での不安などもかぶさって、もう「ギブアップしたいな〜」っていう状態だったのです。

だって、当初の予定では4日目の今日、家に帰ってベッドでゴロゴロしているはずだったのですから。

ただ、カレーが美味しかったので、明日も頑張ろうって思いました。

5日目:快活CLUB 東金店→東横INN千葉駅前


※表示している地図のルートはGoogleが提示する最短ルートであり、実際に歩いたルートと違います。

運命の5日目。

今回の旅での最長ルートに挑戦です。上のグーグルマップは、実際に歩いたルートに限りなく近いルートが表示されています。

不安の中での出発です。

この日決めていたのは「5km歩いたら、必ず20分以上の休憩をする」という事です。

どんなに疲れていなくとも、先を急ぐことはせず、休憩できる場所を探して必ず休憩をして、疲れないように歩くという事を心がけました。

歩いて、休む。

歩いて、休む。

歩いて、休む。

歩道らしい歩道がない道が多くてすごく歩きづらかったです。

途中、自販機とベンチのある「さあ!ここで休むんだ!」と言わんばかりの場所があって、すごく心地よく過ごせた事は覚えています。

が、それ以外のことをあまり覚えていません

覚えていない理由は・・・きっと・・・

驚くほど順調だったから!

です。

自分でもびっくりしました。ネットカフェでゆっくりと休めたのがよかったのでしょうか?連日の徒歩移動によって体が順応したり成長したりしたのでしょうか?

とにかく、足が全然疲れないんです。荷物もやけに軽く感じました。

気がつけば、あっという間に千葉の市街地へ。

正直、目的地を東横イン千葉駅前ではなく、もっと先に進んでしまおうかと思ってしまうほどに調子が良かったのですが、こういう時に無理したら体を壊してしまうだろう、と思ってやめました。

スタートからおよそ10時間後、特にドラマチックな展開もなく、あっさり本日の目的地である東横INN千葉駅前に到着しました。

というわけで、早速お風呂!の前に洗濯を行いましょう。雨と汗のせいで雑巾みたいな匂いになってますから、風呂上がりにこれを着るのは絶対に嫌です。

そして、洗濯と乾燥が終わったら、お待ちかねのお風呂タイムです。

ホテルの中なので、もちろんツイキャスなどの配信が可能です。

冷蔵庫からキンキンのビールを取り出して、プシュッと飲みながら配信したりして、野宿からのホテルという、圧倒的な文明的成長を感じながら眠りにつきました。

今日は本当に、驚くほど楽に歩けました。もう不安になる必要はなさそうです。このペースなら、後2日でゴールの新宿に到着できます。

ここからは、さほどアップダウンもないでしょうし、道もしっかり舗装されて歩きやすいでしょうから。気持ち的にもかなり楽です。

やっと・・・ゴールできる。

この時はそう思ってました。

ツイッターにも「どこかの公園で連泊しないと、誰もいない日曜日に到着してしまう」なんて、まさに取らぬ狸の皮算用というか、完全に浮かれてますね。

まさか、本当に連泊する羽目になるなんて、この時は微塵も思わなかったのです。

6日目:東横INN千葉駅前→快活CLUB 本中山店


※表示している地図のルートはGoogleが提示する最短ルートであり、実際に歩いたルートと違います。

運命の歯車が完全に狂い始めた6日目。スタート時点では、まさかこんなことになっていくなんて微塵も思っていませんでした。

スタート直後に、今まで6日間ずっと連れ添った旅の相棒である「自撮り棒」がブチ折れてしまいご臨終しました。スマホを手で持って歩きながらツイキャスするのは、とっても不便でしたね。

今までは、銚子市からずっと国道126号線を歩いてきましたが、ここからは国道14号線を歩くことになります。

まあ、道中電化製品店などがあれば、そこで新しい自撮り棒を調達すればいっか!って思ってたのですが、14号線には電化製品店が全く存在しておらず、半日以上スマホを手で持っていました。

途中、お昼ご飯を食べるために「かつや」でテイクアウトを試みたのですが、支払いが現金のみという古代文明に取り残された遺跡みたいなお店だったため、現金を持ち歩かない(重いから)僕は、かつやでカツ丼を買うことができませんでした。

本当に残念です。

で、配信しながら思いました「海が見たいな」って。海を見るためには2kmほど遠回りしなければなりませんが、それでも海が見たいんです。

なぜならこの旅、犬吠埼からここまで歩いてきて「おお!」っていう景色が一度も無かったからです。配信画面の画力的にいうなら、スタート地点がピークであり、そこからはもうずっと「雑木林と畑と道路」しか写ってない配信になっていたからです。

僕だって、せっかくの旅だしいい景色が見たい!

ってことで、14号線を稲毛あたりで左に外れて、稲城海浜公園を目指しました。遠回りにはなったけど、すごいいい景色で、ああ俺・・・旅してるな〜、って思っちゃったりしました。

海沿いの道を歩きながら、徐々に国道14号線へと向かいます。このあたりで、ちょっと足に違和感を感じておりました。

足・・・ちょっと痛くない?って。

昨日は、あんなに痛みがなかったのに、やっぱり2日連続で歩くと、こんな感じに痛みが出てくるんだな〜仕方ないか〜。ってな具合に思っていました。

途中、習志野のあたりで電化製品店のノジマに寄ったのですが、ちゃんと使えそうな自撮り棒が売っておらず落胆。

その後、ケーズデンキがあったので寄ってみたら、今まで使っていた自撮り棒の色違いが売っており、自撮り棒が復活しました。

さすがケーズデンキ!新製品が安いだけじゃないぜ!

海沿いの道が終わったら、今度は首都高速湾岸線の下を歩いて西船橋へと向かうわけです。今日の目的地は西船橋駅あたりのネットカフェ、快活クラブ本中山店です。

さあ、頑張って行きましょう!

でも、湾岸線の下の道って、すごい歩きにくいんです。横断歩道がない場所も多くて、歩道橋を使わないと道路を渡れないこともしばしば・・・。

で、ららぽーとTOKYO-BAYの前の歩道橋を渡りきったところで、足の違和感は違和感ではなくなり、確信へと変化しました。

アキレス腱が痛い・・・。

右足のアキレス腱が痛くて、歩けないのです。厳密には、アキレス腱を使う歩き方だと痛くて歩けないため、足首を曲げずに引きずりながら歩かないと前に進めない、という感じになってしまいました。

目的地まで残り5kmほど。時刻は夕方の17:00。

この5km、多くのリスナーさん達に応援してもらいながら、時速1km程度のペースで、文字通り足を引きずりながら歩きました。目的地のネットカフェについたのは夜の10時ごろ、あそこから本当に5時間近くかかってしまいました。

絶望的なほどの痛み・・・。

これ、明日までに治るのか?と心配になるほどの痛みでしたが、予定では明日はこの旅のゴールに向かう最終日。まあ、足を引きずってでも前に進んで、とにかくゴールテープさえきってしまえば・・・と思っていました。

アキレス腱の部分に手を添えながら足首を動かすと、ギシギシと振動が手に伝わるほど。イメージ的には、切れる寸前のゴムのような、油を刺していない機械のような感じです。

本当に不安でした。

ネットカフェにあるシャワールームで、足首周辺を入念にアイシングして、しっかりとご飯を食べて眠ることにしましたが、足の痛みで何度も起きてしまいました。

7日目:快活CLUB 本中山店→ゴール(予定)


※表示している地図のルートはGoogleが提示する最短ルートであり、実際に歩いたルートと違います。

予定では、ゴールに向かう最終日。ツイキャスの配信タイトルにも「最終日7日目」という文字を入れていました。

しかし足は絶不調。

せっかくのネットカフェなのに、足が痛すぎて飲み物を取りに行くことができません。もちろん、トイレに行くことすら一苦労です。

おそらく、アキレス腱の炎症

ここにきて大トラブルです。本来なら病院に行った方がいいような状態ですが・・・ここまできてギブアップはしたくない!という気持ちが強く、旅を継続することにしました。

ちなみにこの日、2018年6月9日は、夕方から台風5号が関東に接近し、10日〜11日と強い風や雨に晒されるという気象情報がニュースになった日です。

夕方に台風が接近するなら、夕方までにゴールしてしまえば大丈夫!そう思ってスタートしたのですが・・・。

スタートから2km地点で絶望しました。

足が痛すぎて前に進めないのです。

ここまで足が痛いとなると、今日中のゴールは絶対に無理です。

つまり、どこかで台風を凌ぐ必要があります。

しかし、今の足の状況で歩いていける距離にホテルもネカフェも健康ランドもありません。もちろん、今日のスタート地点に戻ることすらもできないような状況です。

困りました。

どうしたものかと悩んでいたら、ついに雨が降ってきました。急いでレインコートを着たのですが・・・もう、足が全く動きません。

歩けないっていうよりは、立てないってのが正解です。

とりあえず、高速道路の下に避難したのですが、ここでは雨を凌ぐことはできません。しかも今日は台風が来るんですから・・・何とかしなければ・・・。

もう、精魂尽き果てました。

考えることすらできないほど辛く、とてもじゃないですがこんな足の状態では避難することもできません。

ゴールまで残り約20km。

残念ですが、ギブアップです。

ギブアップなのですが、ここまできてしまうと自分の力でギブアップをする事ができません。自分の判断でギブアップする勇気がないのです。

だから、台風が強くなって、身動きが取れなくなって、ギブアップしなければならない時間を待っているのです。

もうダメだ、心ではそう思ったのですが、脳みそが勝手に「残された選択肢」を精査し始めます。それぞれの選択肢に、どれくらいのリスクが内包されていて、どれくらい実現の可能性があるのか。

可能性。

全ては可能性です。

あるアイデアが浮かびました。

この場所から3kmほど前進した場所に、新中川という細い川がある。川があるということは橋がある。細い川ということは橋はおそらく低いだろう。河川敷があれば橋は屋根になる。しかし台風だ、台風ってことは増水する可能性がある。しかし新中川は上流で荒川と江戸川に分岐しているため、水量が多くなりにくいのではないか?また、朝と夕方の満潮時だけ水量に気をつけておけば、川の増水に巻き込まれるリスクは少ないと思われるぞ?山の中の沢じゃ無いんだから鉄砲水みたいなのは来ないと思うし・・・。

市街地を歩いてのたれ死ぬ可能性は100%無いでしょう。

しかし、台風の来る日に河川敷で野宿するとなると、死ぬ可能性が1%程度存在します。1%すら許容したくはありません。しかし満潮時だけ気をつければ良いなら、死ぬ可能性が1%存在するのは満潮時の4時間だけ、それくらいのリスクなら・・・取れる。

配信環境を整える余裕はありませんでした。

荷物をもち、3kmを前進します。ツイキャスでは空白の3km区間となってしまいましたが、どうしてもギブアップ出来なかったのです。

雨の中、足を引きずりながら歩きました。二日間分の水と食料以外の飲食物は全て捨てて、できる限り荷物を軽くした状態で歩きました。

そして到着

新中川と国道14号線(京葉道路)が交差する場所の東側の河川敷。今回、幾度となく行った野宿の中でも、台風さえなければ最も野宿しやすそうなロケーションでした。

あとは・・・増水に気をつけながら台風をしのぎきり、何日でも連泊して足の痛みが収まるのを待てば・・・俺の勝ちです。

アキレス腱部分が軽く内出血してます。もう、ダメなんじゃ無いか?って思ってしまいますが、とにかく今は足のことよりも増水の事、台風を凌ぐことだけを考えます。

橋の下で寝袋に入って寝転がっていたら警察官に職務質問されましたが「気をつけてください」で終了。まあ、移動してって言われたギブアップするしかなかったけど。

絶望的な状況です。正直泣きました。早く家に帰りたいな〜って泣きました。

でも、だんだん感覚が研ぎ澄まされていきます。この感じが楽しいんです。感覚が研ぎ澄まされた結果「いける、ゴールまでいける」と、根拠のない自信が湧いてきました。

あと、深夜ラジオのおかげで元気になりました。

  • 伊集院光の深夜の馬鹿力
  • ハライチのターン
  • Creepy NutsのANN0

深夜ラジオってすごい。こんなに不安と憂鬱のどん底なのに笑わせてくれる。そして、目を瞑ったまま楽しめるから、気持ちが軽くなって、そのまま寝られます。

とにかく最低最悪の1日でしたが、無事夜を越せそうです。満潮時刻にアラームをセットして、うとうとしながら過ごしました。

8日目:新中川の河川敷で野宿

朝が来ました。

ギブアップする予定だった7日目が終了し、8日目がやって来たのです。まだ台風は過ぎ去ってませんが、最も大変な場面を乗り越えた感じがして、気分は晴れやかです。

なんせ、台風が来てますから、橋のしたは飛びそうなくらいの突風が吹いております。突風に雨水が乗ってミスト状態の風が吹き荒れるため、超寒いのです。

もう本当に1日中ずっと寝袋の中にいました。

何もすることがありません、ちょくちょくツイキャスで配信したり、ネットニュースを少し見たり、ご飯を作って食べたり、そんな感じで24時間を過ごします。

流石に2日間もここで過ごすと、犬の散歩などで訪れる近隣の方々とも交流するようになります。みんなからいただいた「頑張ってください」という言葉、ゴールまで持って行きたいと思います。

台風が治ったので、夜もぐっすり寝れそうだ。

9日目:新中川河川敷→ゴール(株PLAN)


※表示している地図のルートはGoogleが提示する最短ルートであり、実際に歩いたルートと違います。

さあ、ゴールテープを切って旅を完結させるか、アキレス腱を切ってギブアップするかの2者択一の最終日。もうギブアップするにはアキレス腱くらい切れないと諦められません。

ゴールまで残り17km前後、楽しんで歩きたいと思います。

足は、相変わらず痛いですが、以前のような「全く動かせないくらい痛い」という感じではありません。

動かせるけど、痛みはある。

この程度なら・・・行ける!

って思ったんですけど、亀戸あたりでやっぱり痛くなっちゃいました。荒川を超えるあたりまでは順調そのもので、これなら絶対にゴールできるぞ!って思ったんですけどね。

アキレス腱の炎症は、そんな1日休んだ程度で痛みが引くようなものではありません。疲労じゃなくて、もはやこれは怪我ですからね。

しかし、ゴールするなら今日しかない。ゴールするまでアキレス腱が持ってくれれば、ゴール後に切れたって病院に行けばいいだけの話なんだから、なんとしてでも前に進むぞ!

と意気込み、足を引きずりながら前進しました。

錦糸町を通過。

両国を通過。

秋葉原を通過。

御茶ノ水を通過。

九段下の上り坂は、本当に大変でした。

靖国神社の前で休憩。

市ヶ谷を通過。

ここまでくればもう地図なんて必要ありません。道を間違えるわけが無いんですから。

防衛省の前を通過し・・・もうゴールは目と鼻の先。

しかし、天候が不安定で、雨が降って来そうな気配もある・・・。そんな時、向こうの方から、見覚えのある人が歩いて来ました。

社長です。

勇太お疲れ!傘持って来てやったぞ!

感動したってよりも、なんだか救われました

やっとこの地獄から抜け出せるんだ、抜け出せたんだっていう感情が溢れて来て、泣いたっていうより嬉しすぎて雄叫びをあげてしまいそうな感覚でした。

これだけ辛かったんだから、ゴールしたら泣くと思ったんですけどね。

辛すぎると、泣かないのかもしれませんね。

もう、嬉しくて嬉しくて、感動じゃなくて歓喜でした。

また、徒歩旅したい?

何回も聞かれました。

何回でも答えましょう。

またしますよ、絶対

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仕事そっちのけで記事を書いた人

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