先日、名古屋の実家に帰省しました。
名古屋に向かう新幹線の中で「今日の晩御飯って何?」とワクワクしながらメールをしたら、父から「今日はダチョウ」って返事が来ました。
正直、くっだらない親父ギャグをかまして来たんだと思い「はいはい、ダチョウねー!楽しみー!」って返しておいたのですが、実家について真面目に話を聞くと、マジでダチョウの肉を食いに行くんだとか!
ダチョウ!?食べるの!?
父からのまさかの誘いにたじろぐ僕・・・。でも、まあ確かに、ダチョウって「でかい鳥」ですよね?食べられるよね、そりゃ。ダチョウなんて、本革のカバンなどに使うオーストリッチ革しか知りませんけど、食べられるなら食べてみたい!
正直、名古屋に帰ったら手羽先とビールで!って考えてましたが、ダチョウの手羽先で一杯やることになるとは思ってませんでした。今回はそんな「ダチョウ肉」の味や感想を食レポしてみたいと思います。
今回お邪魔したのは、愛知県名古屋市中区栄3丁目にあるアジアン創作酒場「デニケン’s 2号店」。看板に「元祖ダチョウ料理」とあるように、ダチョウ料理をベースとした創作料理のお店です。2号店とありますが、ダチョウ料理を出しているのは2号店だけなので要注意!
このお店を紹介してくれたのは、父の職場で働いている「リュウちゃん」と呼ばれる青年。どうやら過去にこのお店でアルバイトをしていたようで、今回は僕たちの「初めてのダチョウ肉ツアー」をアテンドしてくれる事になりました。
リュウちゃん曰く、鶏肉が鮮度や取り扱いによって味が大きく変化するように、ダチョウも鮮度や取り扱いによって美味しかったり美味しくなかったりと変化するそうです。
ダチョウ肉は名前のインパクトから、野外の食事系イベントなどで屋台に並ぶ事も多いようですが、そこで食べたダチョウの肉がダチョウの味だと思って欲しくない!と言っていました。
期待が高まります!
※ちなみに、このダチョウのイラストを描いたのが、今回アテンドしてくれていリュウちゃんなんだとか。
ダチョウ肉と他の肉との比較:85グラム(3オンス)あたりの栄養価
ダチョウ肉 | 鶏肉 | 牛肉 | 豚肉 | |
カロリー | 97kcal | 140kcal | 240kcal | 275kcal |
たんぱく質 | 22g | 27g | 21g | 15g |
脂質 | 2g | 3g | 15g | 19g |
鉄分 | 2.9mg | 0.5mg | 2.5mg | 1.2mg |
コレステロール | 58mg | 73mg | 77mg | 84mg |
たんぱく質量こそ鶏肉に劣るものの、カロリーの低さや脂質の低さは素晴らしいと思います。まさに「ヘルシーな肉」であり、筋トレの強い味方といえます。
また、脂肪燃焼を助けるカルニチンや、筋肉維持に欠かせないクレアチンを豊富に含んでいる点も見逃せません。
ダチョウなんて、動物園かNHKの番組でアフリカの大地を走り回っている姿しか想像できませんでした。
だからダチョウ料理って言うのはアフリカのハンターが捕まえたダチョウを冷凍かなんかして輸入された物を使っているのか?なんて思ってましたが、どうやら全然違うようです。
なんと、日本全国に「ダチョウ農家」ってのがあるんだとか。関東では埼玉の新座にあったり、名古屋近辺では岐阜の羽島にもダチョウ牧場みたいな場所があるそうです。
つまり、和牛や地鶏のように、日本生まれ日本育ちの「純国産ダチョウ」があるのです。
とまあ、ダチョウ肉に関するウンチクはこれくらいにして実際に食べてみましょう。
メニューをみてみると、創作居酒屋の名前に恥じない創作料理が沢山のあって困ってしまいました。ダチョウ丼、ダチョウのパスタ、ダチョウのタルタル・・・。
とりあえず「おすすめは?」と聞くと、ダチョウ料理が初めてなら、シンプルにステーキや刺身でダチョウの肉の美味しさを知ってほしいと言われたので、案内通りの順路で回る事にしました。やっぱり段階を踏んでいくべきですよね!
と言うわけで、ダチョウのヒレ肉を使ったステーキです。
鳥の肉とは思えない赤さに驚きますね。これはもはやみためだけなら牛肉です。一般的な鳥は白身肉ですが、ダチョウの場合は活動に酸素をたくさん必要とするのでミオグロビンが多いのでしょう。泳ぎまくるマグロが赤身なのと同じ理由です。
予想ですからね、注意してください。
この記事を執筆している今この瞬間、写真をみるだけで口の中がヨダレでいっぱいになってしまうくらい美味しかった記憶が蘇ります(笑)
ステーキソースに含まれるバターの風味に負けない濃厚な旨味は、まさに牛ヒレ肉のような存在感。しかし鶏肉のもつさっぱりとした味いも持っており、どれだけ食べても胃もたれとは無縁でいられそうです。
俗に言う「野趣」も感じられません。臭みゼロの無重力状態です、下手な豚肉よりも獣臭は感じないため、ジビエを含む牛豚以外の肉が苦手だと言う人でも美味しいと感じられるでしょう。
すごいぜダチョウ!
さて、僕達の「初めてのダチョウ肉ツアー」をアテンドしてくれているリュウちゃん曰く「ダチョウの刺身はマジで間違いない」そうです。
とりあえず全部の部位を食べてほしいと言われたので注文してみました。この写真、何度見てもジュルルな状態です。
まさに奇跡の味!
レバーの刺身ですからね、もちろん塩ごま油で頂きましたが、これはもうまさに「筆舌に尽くし難い」という状態です。ああだめだ、思い出すだけで美味しいです口の中が。
さて、お次はダチョウのモモ肉ですが、ダチョウの肉はほとんどがモモ肉といえます。
そもそも、ダチョウは飛ばない鳥なので胸肉が発達しておりません。反対に、走り回るため足回りの筋肉が一般的な鳥と比べて圧倒的に発達しており、背中やお尻(に見えるあたり)までがモモ肉となります。つまり「ダチョウの肉の味はモモ肉の味」と言えるでしょう。
そんなモモ肉の刺身、味自体は一般的な鶏肉のモモ肉に近い味ですが、食感がまるで油の乗ったブリのような「細かい繊維質な食感と溢れる油の旨味」がたまりません。正直、最高すぎて驚いてます。
焼き鳥屋さんに行けば、ただひらすらに砂肝を注文する僕。もちろん鳥の砂肝刺身にもうるさい部類です。
ダチョウの砂肝は鶏よりも明らかに「臭み(野趣)」を感じます。これは、ダチョウの砂肝が臭いのではなく、鳥の砂肝があまりにもクセがないせいだと思うのですが、ダチョウの方がワイルドな味がします。
個人的には、鳥の砂肝刺身よりも、ダチョウの砂肝刺身の方が好きです。美味しいです。臭みと書きましたが、これはいわゆる「味」なわけで、臭いわけではありませんよ?ヤギ肉の1/1000くらいの臭みがあるだけです。
先ほどダチョウのヒレステーキを食べましたが、ダチョウのヒレ肉は刺身にしても素晴らしいですね!わさび醤油につけて食べたのですが、率直に言うと「ステーキの旨味部分だけを食べている」って感じです。
舌で感じる繊維質の食感と、旨味の強い肉の味がたまりません。個人的には馬の肉よりも好きです、わさび醤油だけじゃなくて、桜肉に使う調味料でも食べてみたいです。
さて、ダチョウ肉のお刺身5種盛りの最後は「心臓」です。ハートとかハツとか言われる部位ですね。
心臓というと、イメージ的には「レバーと砂肝の中間」のような、レバーから臭みを抜いて食感を足したような味、ダチョウも同様でした。ただ、鶏の心臓よりも食べ出があって、噛みしめるほどに味が染み出してくる感じは初めての体験です。
って言う感想を記事に執筆している間にもう口の中が大洪水です。あまりに空腹が加速しすぎるので、記事の執筆途中ですが早めの食事にしたいと思います。
セルフ飯テロがやばいです。
さて、僕も父も大絶賛となったダチョウのレバー刺しですが、なんと「炙り」もあるらしく、それを聞いた父が食い気味に注文してました。
トロッとしているのかと思いきや、コリコリサクサクとした食感で、レバー特有の旨味を色濃くした生レバーのような味わい。控えめに言ってぶっ壊れている美味さです。
しっかしこれ、おいしすぎて、財布が空になるまで注文してしまいそうです。
「まぁ一皿まぁ一皿と、たいがいにしとかないかんよ!今晩の予算がわやになってまった、デニケンさんもいかんわ、うますぎるもん!」って事です。何言ってるか理解できない人は知り合いの名古屋出身の人に聞いてください。
ビールが進んで仕方ない焼き物往復ビンタの復路はコレ、ダチョウの心臓焼きです。刺身であんなに美味しかった心臓がサイコロ状の厚切りになって帰ってきました。圧倒的なビジュアルに脳汁が溢れ出てきます・・・。
口に入れた瞬間は、ソースに使われているバターが一気に押し寄せ、そこからしばらくはヒレ肉のような「肉の旨味」を堪能できます。それが終わると砂肝のような食感が待っており、だんだん飲み込むのが勿体無くなってきます。
ビールを飲みたい気持ちと、ダチョウの心臓焼を飲み込みたくない気持ちの間で揺れ動きます。脳内でZARDが歌い始めますが、ビールの誘惑に負けて飲み込んだ瞬間今度はGLAYが両手を広げて歌い始めます。
ダチョウ肉の刺身5種盛りや、ダチョウの焼き料理を食べ進める間に、父のペースに合わせてビールを飲んでしまったため、この辺りの記憶が曖昧でしたが、さすがは過去の僕!ちゃんとスマホに味の感想をメモしてありました。
しかし、このダチョウ肉のユッケが、ダチョウのどこの部位を使ったものなのかなどはメモされていません。シラフの僕なら絶対に聞いてるはずなのに・・・やっぱりお酒というのは怖いですね(笑)
さて、肝心の味の方ですが
「ニンニクが効いていてウマイ!」
とだけ書かれています。大変参考になりました。まあ、よほど美味しかったのでしょう。潜在意識に刷り込まれているのか、写真がめちゃくちゃ美味しそうに見えます。早く名古屋に行きたい。
お腹も満腹、ビールも沢山飲んで顔も真っ赤になってきましたが、どうやらダチョウの肉料理はこの「ソーセージ」を食べたらコンプリートだという事なので、せっかくですからダチョウ肉のソーセージもいただくことにしました。
コレはしっかりメモが残っているので安心です。
「流石にソーセージに使っている腸はダチョウではなく豚だそうです。お弁当のウインナーを思わせる細かめなミンチ肉ですが、鳥の肉を使ったソーセージとは思えない濃い肉の味に驚きました。魚肉ソーセージのような脂質の少なさも不思議な食感をもたらしており、胃もたれとは無縁の味がします」
とのこと。過去の俺ナイス!
これこそまさに「まぁ一本まぁ一本と!たいがいにしとかないかんよ!」ってやつですね。
さて、ダチョウといえばあの「巨大なタマゴ」ですよね。テレビ番組などで、ダチョウの卵を使った巨大な目玉焼き!なんていうシーンを見たことがある人は多いと思います。
もちろん「デニケン’s 2号店」でダチョウのタマゴを食べることは可能。なのですが、どうやら事前に予約が必要だそうで、今回は急遽ダチョウの肉を食べに行くと決まったため断念することに・・・。
しかし、事前に予約すれば食べられる!
というわけで次回、名古屋に帰省した際はダチョウのタマゴを予約して食べて、その味や感想をここに加筆したいと思いますので、乞うご期待!(っていうか、ぜひお近くの方はダチョウ料理を食べに行ってください。感動しますよ!)
ダチョウ料理の文化が根ずく地域といえば、アフリカと、カリブ海やラテンアメリカです。カリブ海や北大西洋といえば?黒髭ことエドワード・ティーチやバルバロッサ兄弟を代表とする海賊抜きには語れません。
そんな海賊の隠れ家をイメージした店内は、バナナの葉に書かれたメニューや、木樽のビールジョッキなど、細かい工夫が盛りだくさん!
食べなれない食材に抵抗があるかもしれませんが「知らない人は損している」とすら思える美味しさのダチョウ肉。その優れた栄養価と糖質制限やローカーボダイエットの流行から、そのうち「スーパーフード」的な扱いでブームとなるかもしれません。
実は畜産動物としても非常に優秀であり、食糧危機が騒がれる昨今ではオルタナティブフード(代替食料)としての注目度も高まってきています。ダチョウのお肉を食べて、トレンドを先取りしてみてはいかがですか?
そんなダチョウの肉料理、名古屋市内で食べるなら、「デニケン’s 2号店」が間違いありません。
【アジアン創作酒場 デニケン’s 2号店】
店長さんに「ダチョウの肉って超絶美味しいですね!ヘルシーだし近所のスーパーで売って欲しいくらいですよ!」っていう話をしたら
「うちのお店で通販もできるよ?」
とのこと!まじっすか!
一応値段は変化しやすいので参考までにとのことですが、ダチョウのモモ肉が1kgで4500円くらいだそうです。また、まとめ買いする場合はもう少し安くもできるとおっしゃっていました。
バーベキューなどで「ダチョウの肉持ってきた!」って行ったらメチャクチャ盛り上がりそうですよね。しかも、その辺の肉よりも圧倒的に美味しいとなったら・・・モテる!!著しくモテそうだ!!
というわけで、僕は買います。
ダチョウ肉を購入したい場合は、お店を予約するのと同じように店舗に電話して「ダチョウの肉が買えるって聞いたんですけど〜」といえば大丈夫だそうです。
※2018年現在の情報ですので状況が変化している場合もあります。ご了承ください。