2018年1月の移籍市場でイングランドプレミアリーグのリバプールからスペインラ・リーガのバルセロナへ移籍したブラジルの至宝フィリペ・コウチーニョ。
その際に発生した移籍金はサッカー界で歴代2位の1億6000万ユーロ(約218億円)にもなったそうだ。
ブラジル人がなかなか活躍できないと言われていたプレミアリーグでリバプールの中心選手として活躍した同選手。
スペインの名門バルセロナが巨額の移籍金を払ってまで獲得に動いたコウチーニョとはどんな選手なのか、コウチーニョのプレースタイルや凄さについて迫っていこうと思う。
小柄でベビーフェイスのコウチーニョ。
彼が2010年にイタリアの名門インテルでプレーをしていた時から僕が勝手に注目していた選手で類い稀なボールコントロールとシュート力は昔から顕著だった。
インテルにいたことを知らないって人も多いが、2013年にはインテルからたったの13億円でリバプールへ。
世界のサッカーファンがコウチーニョの名前を知るようになったのは、リバプールに移籍したあとだろう。
移籍したリバプールでは背番号10番を背負い、通算201試合に出場し54得点を記録するなど中心選手として大活躍。
するする相手をかわしていくドリブル、パス、そしてミドルシュートを織り交ぜたプレースタイルは、プレミアリーグの体格の大きな選手達を飄々と翻弄するので「リトルマジシャン」というあだ名さえ付いたほど。
2014-2015シーズンにはPFA年間ベストイレブン(イングランドでプレーする選手のベストイレブン)、クラブ年間最優秀選手は2年連続で輝いた(2014-2015, 2015-2016シーズン)
その活躍が認められ、スペインの名門バルセロナに移籍すると「夢が叶った」とも語っていたコウチーニョはすぐにチームに順応し、最近では徐々に得点も増えてきた。
2018年ロシアW杯でもブラジル代表としてネイマールと共に活躍が期待されるアタッカーである。
本名:フィリペ・コウチーニョ
国籍:ブラジル
生年月日:1992年6月12日
年齢:25
身長/体重:172cm/72kg
ポジション:OMF
所属チーム:バルセロナ
背番号:14
利き足:右足
着用スパイク:マーキュリアルヴェイパー7 エリート
コウチーニョは攻撃的ミッドフィルダーってことは間違いないが、必ずしもトップ下をプレーするわけではない。
トップ下に加えて左サイドハーフ(LM)やセントラルミッドフィルダー(CMF)などの複数のポジションをプレーすることができるのだ。
バルセロナに移籍する前のリバプールでは左サイドハーフが主戦場だったコウチーニョだが、バルセロナではシステムの関係もあってかセントラルミッドフィルダーをやる機会が多い。
それでも、移籍して最初に出場した試合でもコウチーニョ自身の持ち味を遺憾なく発揮していた。
バルセロナサッカー特有の細かいパス回しダイレクトプレーの連続を簡単にこなし、チームにこれでもかってくらい馴染んでいたのが衝撃的だった。
テレビ前で「コウチーニョってマジで上手いな」って呟いたのを今でも覚えている。
僕がコウチーニョのココを見ろとコウチーニョを知らない人に伝えることが出来るのであれば、下記の3つを伝えると思う。
コウチーニョを語る上でまず伝えなくてはいけないのがドリブルとボールコントロール。
彼のドリブルはタッチが細かいので相手ディフェンダーはなかなか足を出すことが出来ない。
そしてそのドリブル中は上体を使ったフェイントと緩急で相手をスルスルと交わしていくのが特徴である。
コウチーニョ は足が特別速い選手ではないが、アジリティが非常に優れているので一瞬で相手は置き去りにされてしまう。
小回りが利く選手でもあり、ドリブルのタッチが細かいので足が出ないコウチーニョ。
相手からしたら嫌な選手である。
また、コウチーニョはボールコントロールが非常に優れている。
元々ストリートサッカーやフットサルをプレーしていた環境が物を言っているのか、遊び心が満載なプレーが随所に出てくる。
普通ディフェンダーはドリブルをさせまい!とトラップする寸前、もしくはトラップした瞬間を狙いに行くが、コウチーニョに掛かれば繊細なファーストタッチで相手を簡単にかわす。
相手からしたら「あれ、ここにコウチーニョいなかったっけ?ボールあったよね?」ってなるのである。
こういうプレーがリトルマジシャンと言われる所以だ。
次に、コウチーニョを語る上で伝えないといけないのがパスの精度。
先ほどもボールコントロールが非常に優れていると言ったことからも分かるように、ボールを味方にさばく能力に関しては抜群で何もいう事がない。
どんなに速いパスが味方から来ても、雑なパスが来ても、しっかり足元に納めてボールをキープしてくれる。
自分のサイドに相手が集まって来て狭いと感じたら、逆サイドの選手に正確なサイドチェンジも出す事ができる視野の広さも彼の持ち味。
味方がどこにいるか、味方がどう動くか、を常に考えながらプレーしている選手がコウチーニョだ。
決定的なシーンでのラストパスの精度も高く、味方にピンポイントで合わせるパスや味方を動かすパス(スペースに出すパス)も出す事ができる、まさに10番型の選手だ。
最後にコウチーニョを語る上で欠かせないのがミドルシュート。
特にカットインからのミドルシュートだ。
これは、コウチーニョがいた時代のリバプールの得点源の一つだったし、実際にバルセロナに移籍してからも決めたくらい得意な形。
相手からしたらコウチーニョは本当に厄介な選手だ。
ドリブルを警戒してボールを取りに行こうとしたら簡単にかわされ、精度の高いラストパスを警戒していたらミドルシュートを打たれてしまうんだから。
また、そのミドルシュートの精度がびっくりするくらい高い。
まぁ、パスの精度が高いから「ゴールへのパス」が上手いというのはなんとなく分かるが、小柄な選手とは思えないくらいパワフルなシュートを打つことにびっくりする。
左サイドからペナルティエリア付近までドリブルで切り込んだら、ニアサイド(近いサイド)とファーサイド(遠いサイド)のどちらのコースにも正確に且つパワフルに蹴り込む。
こうなると相手ディフェンダーからしたら、何を優先してコウチーニョを止めればいいのか分からない。
バイタルエリアでのコウチーニョは本当に相手にとって脅威である。
ここまでコウチーニョのプレースタイルや凄さについて書いてたが、僕が思うに結局は「ズラし」の巧さと速さなんだと思う。
ここで言う「ズラし」とは、パスやシュートをする為のスペースを空けるという意味の「ズラし」、相手の思うタイミングでプレーしないという意味の「ズラし」のことを言っている。
例えば、コウチーニョは、相手と対峙した時に上体フェイントで相手を動かすことによって色んなプレーの選択をできるコースを作る。そして、そのコースができたら、ドリブル・パス・シュートを相手が思う通常の半歩早いタイミングでモーションに入る。
この一連の全ての動作が、キュッキュッ!と極めて速いので、テレビで見ていると相手ディフェンダーが子供なんじゃないかと思うくらい何もできないように見えてしまうのだ。
先ほど「上体フェイントで相手を動かして〜」って簡単に言ったが、そんな簡単に動かせるようなプレーではない。
この「ズラし」が上手い選手は、有名どころでいくとネイマールやメッシが挙げられ、彼らは簡単に相手を一人分くらいは横に動かしてしまう。
特にネイマールはコウチーニョが16歳くらいの時から一緒にプレーしていて、昔から二人の「ズラし」の速さは群を抜いていた模様だ。
バルセロナ、そして、2018年ロシアW杯でもブラジル代表を引っ張っていくであろうコウチーニョに今後も注目してほしい。