先日、スマホであるニュースを見てため息をついた半田(@handa_plan)です。ソフトバンクによるARM社買収のニュースです。買収額は3.3兆円。アリババ株を売り始めた頃から何をするのかなと楽しみにしていましたが、すごいですね。
というわけでそんな孫正義さんの今回の買収についてと、ソフトバンクのこれまでの買収についておさらいをしてみたいと思います。
孫正義社長によって創業されたソフトバンク(創業時日本ソフトバンク株式会社)は、1994年に株式を店頭公開した際の資金を元手に積極的にM&Aをしていきます。
これまでに投資してきた数は国内、国外を合わせると数千社にも上ると言われています。その中でも主要な投資先についてまとめてみます。
1994年にアメリカのフェニックステクノロジーズの出版部門を約30億円で買収。当時はパソコンが急速に普及をしていく過程にあり、そのOS用マニュアルの出版大手であった同社に目をつけたようです。
パソコン普及を想定し、そのマニュアル書の需要の高まりを考えての買収であったとされています。
フェニックステクノロジーズの案件から8か月後に、ジフ・デービス・コミュニケーションズから展示会部門を買収。金額は200億円。
当時情報ネットワークの技術に関して世界でもっとも大きな規模となっていた展示会、「インターロップ」を手にしました。
当時世界最大のコンピューター関連の見本市です。1995年にソフトバンクによって800億円という金額でインターフェイス・グループより展示会部門を買収しました。
当時はその金額から無謀な買収と言われましたが、当時の世界最高水準の技術、新製品、新商品、そして世界をリードする経営者が集まり接触できる機会を得たことはソフトバンクに大きなメリットを享受したと言われています。
当時コンピューターに関する出版最大手であったジフ・デービス・パブリッシングを1995年に2300億円で買収します。
コムデックスと合わせて3000億円を超える買収額は、孫社長にとって人生で三度目の勝負だったとのことで、インターネットの時代が必ず来ると信じていたからこそできた投資だったのでしょう。
孫社長にとって人生三度目の勝負と言わせた前述二つの投資によって、ソフトバンクの今後を大きく変える投資案件を発見します。それがこのヤフーです。
100億円は半年程度に分けて出資され、1998年には345億円追加で出資が行われます。同時に日本法人ヤフー株式会社を設立し日本でトップのアクセスを集めるポータルサイトが誕生。結果的には1兆円を超える含み益となり大成功。すごすぎ。
アメリカに拠点を置くメモリーモジュールのメーカーです。1996年に約1600億円で株式の80%をソフトバンクが取得しています。
当時ソフトバンクが計画していたJスカイB計画における受信機の製造コストを下げることが可能になり競争力を高める狙いがあったとされています。
結果的には1999年に、円換算543億円で売却。金利・配当などを考慮後、470億円の実損となり投資としては失敗だったと言えるのではないでしょうか。
ソフトバンクの投資案件の中で最も大きなリターンをもたらしているのがこちらのアリババへの投資です。含み益はアリババ上場時でなんと8兆円。
約800倍のリターンは、ソフトバンクの投資に対する含み益の多くを占めています。今回のARM買収においても資金はアリババ株の売却益から多くを捻出しています。
アリババの創業者であるジャック・マー氏に会って話し、最初の5分で投資を決めたそうです。もはや何がなんだかわかりません笑
こちらも通信業界に非常に大きなインパクトを残した買収案件。1433億円の普通株式取得に加え、1640億円の負債、さらに優先株325億円の合計3400億円での買収となりました。
ブランド力と通信インフラの拡充、ネットワーク投資の抑制はソフトバンクにとって非常に大きなメリットであると見込んだ買収となっています。
野球球団ってこれくらいで買えるんだ。大学生だった僕がなんとなくそう思った記憶がある案件です。ソフトバンクにとっては、一般にその名前が広まったのではないでしょうか。
ソフトバンクが優勝すると選手たちと一緒になってうれしそうにはしゃいでいる孫社長には、ぜひ海外のサッカーチームも買ってほしいところです。
はいきました。桁はずれの買収額。当時国内の買収額として最大です。最初はMVNOとしての交渉を行っていたようですが、買った方が早くね???となったそうな。
ソフトバンクが2000億円、傘下のヤフーが1200億円を出資し、残りはノンリコースローン、簡単にいえば借金です。これだけの借金をできることがすごい。
ボーダフォン買収後、国内の携帯電話業界に戦争をしかけ着実にその地位を確固たるものとし、借金も完済に向けて順調に進んでいたソフトバンク。
ここで孫社長が満足するわけもなく次に買収をしかけたのがアメリカの携帯電話事業社であるスプリントです。なんとここでも2兆円近い金額で買収。
Tモバイル買収の失敗もありかなり苦戦を強いられているようですが、今後どうなるのか、売却するのかなど先がかなり楽しみな案件です。
上記はソフトバンク買収の歴史のほんの一部です。そしてこの度飛び出したソフトバンクによるイギリスARMの買収というニュース。その額3.3兆円。アリババ株を売却し資金を捻出。不足分に関しても、スーパーセルやガンホー株式の売却資金を見込んでのブリッジリーン。
今回は今までと違いほとんどをソフトバンクの手持ち資金によって買収をしました。一体その真意はどこにあるのでしょうか。
そもそもARMと言っても普通に生きている人にとってはピンとこないのではないでしょうか。簡単にいえば、半導体の設計ライセンスを持っている会社です。
自社では製造販売などは行いません。あくまでも設計情報を製造メーカーに提供することによって、そのライセンス料を受け取るビジネスモデルとなっています。
ARMの何がすごいか。何といってもそのシェアです。省電力が強みとなっているプロセッサは現在流通しているほとんどのスマートフォンやタブレットなどのモバイル端末において使用され、そのシェアは実に90%以上。もはやARM部品がないとスマホが作れないと言っても過言ではないです。
自社で開発を行わないため製造のための設備投資や在庫を抱える必要がないため、高い営業利益率が特徴となっています。売上は2016年のQ1をベースにすると年間で約1600億円です。
年間の売上は伸びているとはいえ1600億円。これに3兆円を超える資金をつぎ込むことにはネガティブな意見も多いようです。
そんなARM買収について、孫社長は「IoT」が次のパラダイムシフトの主役であると考えているようです。IoTの時代にはこうしたプロセッサに大きな需要、成長が見込まれます。
つまりスマホだけではなく、これから新しく生まれるIoT関連製品にこうしたARM系部品が積極的に使用されていくということなのでしょう。ロボットにも使われるのでしょうか。
それにしてもすごすぎますね。これを一代で築き上げたというのは想像を絶します。現在のソフトバンクの事業とシナジーが期待できないという意見があるようですが、そんなのどうでもいい気がしてなりません。
これまでのソフトバンクの買収の歴史を見ればこんなことは珍しくもなんともないイメージです。それにしても一体どこまでいくのやらソフトバンク。。