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なぜイギリスはEUを離脱したかったのか

なぜイギリスはEUを離脱したかったのか

どーも半田(@handa_plan)です。6/23に国民投票によって決定されたイギリスのEU離脱。世界の株式為替市場に非常に大きな影響を与えました。

日経平均は一時1300円安。NYダウは一時540ドル安。ドル円は一時100円割れ、ポンド円は高値から2500pips以上下落

世界の市場からは215兆円が失われるという歴史に残るインパクトを残したといえるでしょう。そんなイギリスは、なぜ今回EUを離脱したがったのでしょうか。

イギリスの移民、難民問題

今回EU離脱についてなぜここまで話が盛り上がったのか、国民投票にまで発展したのか、これはイギリスが抱える移民問題が大きなポイントとなっています。

簡単に言ってしまえば、イギリスには他のEU加盟国、特に東ヨーロッパから多くの移民や、北アフリカやシリアなどから多くの難民が押し寄せているのです。

なぜイギリスに移民、難民が集まるのか

理由は単純明快。イギリスの方が稼げる上に保障が手厚いからです。少なくとも今住んでいる所より生活の質が上がることが明確なのです。

さらにイギリスは社会保障が非常に充実しているだけでなく、難民の場合正式な手続きを経ることで、福祉手当としてお金がもらえたり、医療施設を無料で使えたり、確実に家に住めたりといたでりつくせりなんです。

自国でまずしい生活をしているのであれば誰だってイギリス行けば一発逆転のチャンスがあると誰もが思ってしまうでしょう。

移民、難民が押し寄せることによる問題点

そもそもなんで移民、難民が集まるとイギリスは困ってしまうのでしょうか。別に移民が来たって仲良くやれば良い。難民助けてあげようよ。そんな簡単な問題じゃありません。

イギリスは移民、難民にとっては大人気の国。そんなイギリスに移民が押し寄せると一体どんな問題が起こるのでしょうか。

イギリスの人が職を失う

多くの場合東ヨーロッパからの移民がイギリスに来ると給料が上がります。しかもこれはイギリスの最低賃金であった場合でもです。リトアニアから来た移民の方で給料が4倍になったという方もいます。

実態は代理人がマージンを取るために、移民の実質手取りは最低賃金を下回ることも多いようですが、それでも移民は喜んでイギリスで働きたがるのです。

雇用する側からすれば安い労働力が手に入る。必然的にイギリスの労働者の雇用優先度合は下がってしまい職を失うことにつながります。

最悪移民同様の条件をのんだとしても、それは最低賃金で働くことを意味し、結果としてイギリス国民の生活の質は低下してしまうのです。

イギリス国民の負担が増加する

移民や難民を受け入れるということはそこにコストがかかることを意味します。それを負担するのはイギリス国民が納める税金です。

必死に働いて稼いだお金の一部を税金として納めたものが、移民や難民のために多く使われ、結果としてイギリス財政が圧迫されてしまえばイギリス国民が納得するわけがありません。

他人の生活を守る前に自分たちの生活の質を守れというのは至極もっともな話であり、離脱を求める人たちが何よりも望むものとなっています。

イギリスは移民を拒否できない

そんな移民が大量にイギリスに押し寄せているのであれば、イギリスはそれを制限したり拒否したりすればいいじゃない。

そう思うのが普通なんですが、EUの法律によって労働者の移動の自由が定められているため拒否や制限が出来ないようになっています。

移民拒否するためにもっとも手っとり早い方法を考えた場合、いっそEU離脱しちゃえばいいねということになるわけです。

EU離脱決定によって何が起こる?

ここまでイギリス国内でEU離脱を望む動きが大きくなった要因について紹介してきましたが、実際の国民投票によって離脱派が僅差で残留派を上回りEU離脱という結論が下されました。

ではイギリスがEUを離脱することによって一体どのような影響があるのか、様々な視点から考えてみます。

為替市場におけるポンド安

EU離脱の決定は世界の市場に非常に大きなインパクトを与えました。その一つが大幅なポンド安への動きです。

ポンド円に関しては国民投票直前の高値であった160円から133.50円まで約26円も円高に振れました。

長いことFXやってますが、一日でこれほどまでにポンド円が動いたのを見たことがありません。(個人の海外口座でゼロカットをストップにギャンブルしても良かったな。。)

イギリスの輸出産業が盛り上がる?

ポンド安になるということは、イギリスから見れば自国の輸出企業が有利になります。今まではしりごみしていた企業が新たに輸出を始めたり、現在の輸出企業の収益力が高まる可能性などがあります。

ただし、EUを離脱するこということはこれまで必要がなかった関税が課せられることを意味します。これはイギリスの輸出企業にとってうれしいことではありません。

このあたりは今後の協議などによって決められていく問題であり、どんな貿易関係がイギリス関係国と築かれていくのかについて注視する必要があるといえるでしょう。

日本にとっては有利?不利?

ちなみに日本からみたイギリスに対する貿易収支は、2014年のデータで輸入が6749億円、輸出が1兆1842億円となっています。

つまり輸出の方が多いため、為替の観点からすれば円安の方が日本はうれしいことになります。

今回のEU離脱によってポンド円は大きく円高に振れる結果になったことから日本の対イギリスにおける産業においては不利といえるでしょう。

EU加盟国同士の財政危機による共倒れ回避

EUには2016年6月30日現在で、加盟国が28カ国となっています。ではこれらの加盟国の財政状態はというとそれぞれの国でかなりの違い、つまり経済格差があります。

よく言えば助け合いとなりますが、実際は財政状態が悪い国の尻ぬぐいをさせられたり、他国の道路を作るためのお金を拠出したりします。

イギリスも決して例外ではなく、どちらかというとEUにお金を吸い取られているにも関わらずそれに対する還元に決して満足していません。

イギリスがEUを離脱することにより、こうした尻ぬぐいをしなくて済むようになります。自分が転んだ時に助けてはくれないかもしれないものの、他国の財政危機による影響を最小限に抑えることができるようになると考えられるでしょう。

EUの終りの始まり?

イギリスがEUを離脱することによって、他のEU加盟国も連鎖的に離脱に向けた動きを強める可能性があるといえるでしょう。

EUという仕組みに疑問を唱えるのはなにもイギリスだけではありません。他の国も離脱をするということになれば、EUそのものが崩壊の危機に見舞われると言っても過言ではありません。

もしもそうなれば、実体経済はもちろん市場に対しても今以上に多大な影響を与えることになってもおかしくありません。

スコットランドの独立

今回の国民投票において印象的だったのは、イギリス内でスコットランドとイングランドで離脱派と残留派がはっきりと分かれていた点です。

スコットランドはほぼ全域で残留派が多数、イングランドでは多くの地域で離脱派が多数でした。つまりスコットランドとイングランドではその考え方が分断されているということになります。

今回のイギリスのEU離脱を受けてスコットランドでは首相であるニコラ・スタージョン首相がEU内におけるスコットランドの地位維持に向けて協議を始めたい意向を示しています。

つまりスコットランド単独でのEU加盟のための法的な問題を始めとした様々な障壁突破のための諮問会議を立ち上げると発表しています。

2014年に行われた住民投票によって、一度はイギリスに残留することを決めたスコットランドですが、再び独立に対する気運が高まらないとは言い切れないでしょう。

再投票の可能性

今回イギリスは国民投票という形で、国の今後を左右するほどの重大なことを決めたわけですが、そんな国民投票のやり直しをもとめる署名が約400万人分も集まっています。

もちろん残留に投票した方の署名が400万人分集ったとしてもそれは意味のないことのように感じますが、もしも離脱に投票したけどやっぱりという方であれば、一体何があったというのでしょうか。

離脱に投票した人たちの後悔

国民投票が行われた後に、googleが衝撃的な事実を公表しました。それが国民投票後のイギリス国内における検索キーワードです。

なんと、「離脱したらどうなるのか」「加盟国はどこなのか」挙句の果てには「EUって何?」といった検索キーワード急上昇したのです。

果たして本当にしっかりと考えた上での票がどれくらいあったのかを疑問視してしまう内容であるともとれるかもしれません。

実際には有権者4650万人中3355万人が投票した今回の国民投票に行かなかった人たちが検索をかけた可能性もあるわけで一概には言えません。(国民投票当日は雨だったことで投票に行かない人もいたという意見もあります)

しかし実際にツイッター上では、離脱に投票したことを後悔しているとするツイートもあり、離脱派のメリットばかりを聞かされてよく考えずに投票した人がいることも事実です。

世論調査の結果では、離脱派の7%もの人が離脱に投票したことを後悔しているというデータもあるそうで、これがもしも反対に投じていれば残留が決定していたほどの票数となります。

国民投票の結果は無視できる

実は今回の国民投票ですが、結果に対しての法的拘束力がないものとなっています。つまり、議会はこれを無視することができます。

国民投票の結果によってEU離脱が決定されるのではなく、議会がこれを決定しEU離脱に向けた協議をスタートするというのが正式な手順となります。

具体的には国民投票によって離脱派が多いことを確認した議会が、これを正式に決定した上で、EUからの離脱について決めた条約であるリスボン条約50条を発動することによって離脱に向けた協議が行われます。

EUサイドは、早急に離脱に関する協議を進めるべきである旨の表明をしているものの、キャメロン首相は辞任時に50条の発動を後任に任せるなど混乱が続いています。

現時点では再投票というのは現実的ではないという意見が圧倒的であると言えますが、法的拘束力がない以上何が起こるかわからないとも言えるでしょう。

なにはともあれ、市場に大きなインパクトをもたらした今回のイギリス国民投票。相場を触るものとしては非常に興味深いものでした。

個人的には、日本の実体経済に対してそこまで大きな影響があるとは感じませんが、今後どうなっていくのかについては見守っていきたいと思っています。

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仕事そっちのけで記事を書いた人

社長やってます。トレードもやってます。

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