「最強のクライミングシューズ下さい」そう言われたら何を提案しますか?おそらく、ほとんどの人がとりあえずスポルティバのソリューションを推すのではないでしょうか?
それほどまでにクライマー達を虜にするソリューションって、いったいどんなクライミングシューズなんだ!?ということで、実際に買って履いてみることにしました!足の実寸とサイズ選びから、フリクションやヒール&トゥの具合まで、履き心地や使い心地を詳しく評価しレビューしたいと思います。
クライミングシューズの3大ブランドといえばどこでしょうか?個人的には、ファイブテン(FIVE TEN)、イボルブ(evolv)、ラ・スポルティバ(LA SPORTIVA)、が3大ブランドかと思います。
創業は1928年、北イタリアで産声を上げたラ・スポルティバ。当初からクライミングシューズを作っていたブランドという訳ではなく、ドロミテ山塊にて林業に携わる人達のための靴を作成するブランドして誕生しました。
クライミングシューズ作りに着手し始めたのは3代目の社長から。1969年にはスポルティバの製品が日本へ輸入されるようになり、1970年代に入るとクライミングシューズの革命的モデル「スーパーウィンクラー」や「ヨセミテ」を生み出し、一躍クライミングシューズの人気ブランドとして浸透していきます。
今でもメイド・イン・イタリーにこだわり続け、クオリティの高いクライミングシューズを世に送り出しています。
世界最強の女性クライマーとの呼び声が高い「野口啓代」選手も愛用する、スポルティバのソリューション。彼女に「欠点のない靴」と言わしめるこのモデルは、名実ともに世界最強シューズの1足に数えられる名機です。
アッパーに耐久性の高いスエードレザーとマイクロファイバーを組み合わせ、ライナーにはパシフィックとライクラを採用した足入れ良好な仕上がり。
ソールは3.5mm厚のビブラムXSグリップ2が採用されていて、足裏感覚の敏感さが高く評価されていますが、ファイブテンのステルスラバーや、ソイルのダークマターなどと比べると、グリップ力にやや不満が残るとの意見も。
ダウントゥやターンインをキープするP3構造、レースアップタイプのようなフィット感を実現するファストレーシングシステム、つま先にパワーを集中させるロックハーネスシステム、全方向からのヒールフックに対応したワンピース構造のヒールカップなど、クライミング界のハイテクシューズと言って過言ではない最新テクノロジーの集大成です。
僕の今までのシューズ遍歴はこんな感じです。
今まで履いた中で、最も攻めたサイズなのに足入れの良さが際立っていたソリューション。このシューズを購入に至ったキッカケでもあります。
履くのに苦労するほどのサイズにも関わらず、気がついたら履いたまま雑談してるみたいな事もありました。それくらい足入れが優秀で(僕の足に合ってるだけかも)特筆すべき点だと感じています。
全体的に、まさに弱点のないクライミングシューズって感じなのが良く理解できます。ビブラムXSグリップ2と言うソールの素材が弱点なのでは?と思っていましたが、正直「ソリューションだとフリクションが怖くて信じられない」なんて場面はありませんでした。
仮に、フリクション性能が他のラバーよりも劣っていたとしても、掻き込みのしやすさや、エッジングの良さが秀でているため、操作性でホールドに乗ってられる時間を補ってるって感じがします。事実、今までのシューズよりも強傾斜で足が切れることが少なくなりました。
汚い足で御免なさい。足の指の皮が捲れているので、テーピングをしてクライミングしてますから、テーピングの糊が残ってしまってバッチい感じになってしまってますね。
僕の足の実寸はこんな感じ。
スニーカーなどは26.5cmで履いています。
今回購入したソリューションのサイズは「39」です。(UK6 / USM6ハーフ / USW7ハーフ)。クライミング仲間に39ハーフのソリューションを履かせてもらった時に、想像以上にジャストサイズでビビッと来たのですが、実際にショップで39と39ハーフを履き比べてみたら、39の方がしっくり来ました。
38ハーフまで攻めようか迷ったのですが、右足は38ハーフの方がピッタリ来ても、左足がキツすぎたので大事をとって39という感じのサイズ選びです。
今まで履いていたイボルブのアグロよりもハーフサイズ程度小さめですが、それでもソリューションの方が僕の足にはしっくり来るようで、指先の痛みはほとんど感じません(窮屈さはもちろん感じますが)。
ライニングが良いのか、またはラスト(足型)が良いのかはわかりませんが、とにかく履き心地が快適で、例えるなら足を包み込んでくれるような窮屈なバッシュという感じでしょうか。しっかりと締め付けられているのに足が当たって痛い訳ではない、そんな絶妙な足入れ感覚です。
スニーカーでいうなら、ナイキのハラチフィットシステムや、フライニット系のライナーのような、タンが一体型になっているライニング構造なのも、履き心地の良さに関与している気がします。
「慣れるまで結構滑る」なんて話を聞いていたのですが、ソールの表面が削れてきたら問題なくグリップするようになりました。
フリクションに関しては、ファイブテンのステルスHFや、ソイルのダークマターに比べると劣る感じがする(滑りやすいボテとかスラブでのスメアとか)。
だが、乗りにくいホールドで掻き込んだり、スメッジングで極小ホールドを信じたりする時は、足裏の感覚が大変優秀なので、むしろ他のシューズよりもグリップ力があるように感じる(要するに信じられる)。
個人的な感想になるが、イボルブのアグロ(ソールはTRAX)と比べると、ほぼ遜色ない。違いを感じにくいくらい肉薄したフリクション具合だと思います。
驚くほどにキまるヒールフック。特にボテなどのフラットな部分が大きいホールドへのヒールがバチバチかかる(イボルブのアグロやクロノスと比べて)。
いつもは、バッチリの場所にビタビタでヒールをかけないと使えないことが多かったのですが、ソリューションは適当にヒールをひっかけてから、いい感じのかかり具合に微調整できるって感じがします。
ヒールフック中の足裏感覚も、他のクライミングシューズより敏感で、ヒールのどのあたりにどんな形のホールドがあるのかを繊細に感じ取れるのも非常に優秀。
あと、ヒールフックしてもヒールが痛くない。コレは僕にとって結構大事で、今までのシューズはヒールフックをするとヒールが痛くて耐えられないってシーンが何回もありました。理由は不明ですが、ヒールカップの具合が調子いいんだと思います。
どっちかって言うと、ヒールよりも得意なトゥフック。トゥラバーまみれのアグロを履いていたので、正直ソリューションにしたらトゥが下手になるんじゃないか?と不安があったのですが、特に問題なく使えたので安心しました。
でも、ヒールフックほどの驚きはありません。モカシムやクロノスなどと比べると、意地悪なスローパーにもトゥフックがかかります。初めての上級者向けクライミングシューズにソリューションを選んだら、その違いに感動すると思います。
10月24日は僕の誕生日。会社に出社したら社長から2枚の封筒を手渡され「どちらか好きな方を選べ」とのこと。
僕は知ってます。去年の誕生日もこんな感じでした。2枚のうちの1枚は、僕が前から欲しかったヘッドホン「AKGのQ701」、もう1枚は社長セレクションのプレゼント、という触れ込み。
僕が引き当てたのはヘッドホンの方で、きっともう1枚もヘッドホンにしてあって、誕生日プレゼントを演出してくれただけなのかな?って思いながらおもむろにもう1つの方の封筒を開けたら「3万円分のゴミ」みたいなことが書かれていた記憶があります。
まさか、今年もそれだなんて。恐る恐る選んだ封筒を開けるとそこには「お好きなクライミングシューズ1足」と買いてあった。奇跡!おお神よ!今だけあなたに感謝します!この会社に入社してよかった!株式会社PLAN最高!世界で最も素晴らしい会社です!I LOVE WORK!!
そそくさと仕事を終わらせて新宿の石井山専へ。
実は、半年近く履き込んでいたイボルブのアグロが、もうクロックスなんじゃないかというくらいの履き心地になってしまっていて、小さいホールドに立ち込めないだけでなく、トゥラバーも剥がれ始めてしまっていた。
次のクライミングシューズを何にしようかと迷ってた時に、友人のクライマーが履いていたソリューションが僕のジャストサイズ近辺だったため、足を入れさせてもらったのだ。
その瞬間一目惚れ。
僕の足の形に作られているんじゃないかと思ったほどの足入れ感覚。足の指がすっきりと収納されるつま先の作り、そしてホールドの凸凹すら感じ取れる足裏感覚。それからというもの、寝てもさめてもソリューションの事ばかり。
ちょっと難しくて登れない課題があるたびに「靴がなー」って心のどこかで思ってました。
そのタイミングで、会社からのこの誕生日プレゼント。嬉しすぎて鼻血でました。