クラミングジムなどでボルダリングをしてると、強いクライマーさん達がヤスリのようなもので指皮を「シャッシャッ」ってやっている姿を見かけたことがありませんか?
あれ、厚くなった指皮を薄くしたり、少し剥がれてしまった皮膚を綺麗に整えたりしているんです。指の皮は厚くて硬い方が良いんじゃないの?と驚くなかれ、指皮が厚く硬くなってしまうと、今まで止められたホールドが止められなくなったりするのです!
というわけで、クライマー達は自分の手の指皮をベストな状態にするため、ハンドクリームや指皮用のヤスリを使ってメンテナンスしているわけですが・・・。
クライミング向けブランドからリリースされている指皮用ヤスリって、木の端材にヤスリを貼っただけなのに千円くらいするんですよね・・・ちょっと高すぎやしませんか?
今回は、クライミング用の指皮ヤスリの必要性を簡単にご紹介した後、100円以内で簡単に作れてしまうオリジナルの指皮用ヤスリの作り方についてご紹介しましょう!
ボルダリングなどのクライミングをしていれば、避けて通れないのが指皮のケア問題。
初心者の頃は「皮が剥ける」ことが問題だったかと思いますが、6級〜5級を登るようになる頃にはむしろ「手の皮が硬くタコのようになる」事が問題となってきます。
指皮が硬いほうが強くて良いじゃん!って思うかもしれませんが、実は手の指皮が硬くるとホールドに弾かれやすくなってしまい、今まで持てていたホールドが持てなくなってしまう事が多々あります。
例えばスローパーなどのホールドの場合、指皮が硬くゴツゴツしていると、手のひらとホールドの設置面積が少なくなってしまい、摩擦力が足りず保持する事ができなくなります。指先も同様に、硬くなりすぎると表面が変形しにくく、ホールドを止める事が出来なくなります。
また、指の第二関節付近に出来やすいガバダコ(ガバホールドを持った時に当たるタコ)は、クライミング前に削って置かないとボロッと取れたりする事もあります。
特に、課題やホールドの特性的に頻繁に当たる部分は手の指皮が成長しやすく、当たらない部分と段差になってしまい、クライミング中に段差部分が破れて裂けてしまう場合もあります。
つまり、クライマーの理想的な指皮というのは「全体的に均一で、厚く、柔らかい」という事になります。
なので、厚く硬くなってしまった指皮を均一な厚さにならして柔らかくするためにも、指皮用のヤスリが必要になるのです。
クライミング向けのギアブランドから、指皮をケアするための様々なヤスリがリリースされていますが、その形状は大きく分けて以下の2種類となります。
形状によって多少使い勝手が違ったりしますので、それぞれの特徴を簡単にご紹介します。
クライミングのトップ選手でも愛用者が多い円筒型。面が湾曲しているため、関節付近の厚さが違う指皮の段差を均一に削るのに向いています。
ヤスリ面も広くなるため、目詰まりによるヤスリの張り直しや交換サイクルも長くなる点が魅力です。棒状のタイプよりも持ちやすく、ヤスリがけし易いのも特徴です。
クライミング向けブランドから販売されている、市販の指皮用ヤスリの定番といえば棒型です。
棒型の特徴は何と言っても、裏と面でヤスリの荒さが変えられるため、表は削るための粗いヤスリ、裏は仕上げのための細かいヤスリ、といった具合に使えます。
棒型の中でも、面が湾曲して磨きやすくなっている物もありますが、こういう形状の場合は反対の面が使いにくいというデメリットがあります。また、棒型はヤスリ面が狭いため、ヤスリシートを頻繁に交換しなければならないというのも難点です。
ビーストメーカーや、クライムスキンといったクライマー向けブランドからリリースされている「指皮用ヤスリ」ですが、1つ1000円近い金額で販売されており、ちょっと高価すぎるとは思いませんか?
僕は思いました。
木の端材に紙ヤスリを貼っただけで千円!?って。
今回僕が作った指皮用ヤスリの値段は、驚くなかれ。
25円の木材に10円分のヤスリを貼り付けた「35円」仕様である。安い・・・安すぎる。この指皮ヤスリに焼印で「Beastmaker」と印を入れたら1000円になるのか・・・。
ブランドとは恐ろしい!
というわけで、簡単かつ低価格で作れるオリジナルの指皮ヤスリ。円筒型も棒型も作り方をご紹介しますので、クライマーのみなさん、ぜひ自作してみてください。
ちょうどクライミング用の指皮ヤスリにぴったりな感じのものが東急ハンズなどの「DIY用品コーナー」に売っています。東急ハンズじゃなくても、ホームセンターなどで購入できると思いますので探してみてください。
今回用意した材料はこんな感じ。
ヤスリの番手は、厚くなった指皮を削るなら80~120番程度、指皮の表面を滑らかにする仕上げ用には400番前後がおすすめです。
今回は、作った指皮用ヤスリをチョークバッグにつけたいので、丸カンネジとストラップひもをつけてキーホルダー状態にしたいと思います。
木材の角を滑らかにしたり、バリのようになっている部分をヤスリがけして綺麗にしましょう。めんどくさかったらやらなくても別に問題ありません。
僕はこういうのが気になるタイプなんです。以外に几帳面です。
使用する紙やすりのサイズを罫書きしておきましょう。
先ほど罫書きした線に合わせて両面テープを貼っていきます。
罫書きした線に合わせてカットしましょう。
紙やすりをハサミで切ると、ハサミの歯が痛むので、100円ショップなどで売っている安いハサミを使用するのがおすすめです。
両面テープの剥離紙を剥がして、木材とズレないように合わせながら貼り付けます。
目の細かいヤスリの場合、両面テープの面がヤスリの面に被っても接着できますが、80番などの目の粗いヤスリだと接着できない場合があるので、ジャストなサイズに切るようにしましょう。
丸カンビスを取り付けたいと思います。
ペンチを使って押さえつけながら、円筒状の木材の方をクルクル回すと入っていきます。クライマーの指先の強さがあればペンチなしでも大丈夫かもしれません。
グレードにするなら3級ってところですね。
あとは、ストラップひもを取り付けたら完成です。
指皮削り用の80番と、指皮仕上げ用の400番の2つを作ってみました。
ちょうどクライミング用の指皮ヤスリにぴったりな感じのものが東急ハンズなどの「DIY用品コーナー」に売っています。東急ハンズじゃなくても、ホームセンターなどで購入できると思いますので探してみてください。
お店によっては、木の板をカットしてくれるサービスがあったりしますので、家にノコギリがない場合はお店でカットしてもらうのも良いと思います。
今回用意した材料はこんな感じ。
ヤスリの番手は、厚くなった指皮を削るなら80~120番程度、指皮の表面を滑らかにする仕上げ用には400番前後がおすすめです。
今回は、作った指皮用ヤスリをチョークバッグにつけたいので、丸カンネジとストラップひもをつけてキーホルダー状態にしたいと思います。
上の画像には、木ネジビットやミニシャックルがありますが、これは木の板に穴を開けようとして失敗したからです。なので、リスト化されている材料以外は不要です。
買ってきた状態の木の板だと長すぎるので、中央でカットして半分のサイズにしたいと思います。適当な位置に罫書き線を入れておきましょう。
ノコギリでカットします。
本当は木工用の糸鋸があったら綺麗に切れたんですが、家にあったのは木材用のノコギリだったので、カットはできましたけど、結構ズタズタになりました。
切断面をヤスリで滑らかにしていき、ついでに木材の角もヤスリで軽く落としました。
ここまで几帳面にやらなくても大丈夫です。お好みでどうぞ。
この辺りに穴を開けて、シャックルを通したり革紐を通したら可愛いだろうなと思い、木工ビットを使って穴を開けてみようと思います。
残念、爆散しました。
諦めて、丸カンビスを使いたいと思います。
ペンチを使って押さえつけながら、木材の方をクルクル回すと入っていきます。クライマーの指先の強さがあればペンチなしでも大丈夫かもしれません。
グレードにするなら1級くらいあるかもしれません。忍者返しだと思って挑んでください。
木材のサイズに合わせて紙やすりを罫書きます。
両面テープを貼って、ハサミで切ります。
紙やすりをハサミで切ると、ハサミの歯が痛むので、100円ショップなどで売っている安いハサミを使用するのがおすすめです。
剥離紙を剥がしたら、ハミ出さないように貼り付けましょう。
ストラップ紐を取り付けて、完成です。
表は指皮削り用に120番、裏は指皮仕上げ用に400番を使って作りました。
せっかくオリジナルの指皮ヤスリを自作するのであれば、ヤスリ自体の種類にもこだわってみたら面白いかな?と思い、様々な種類のサンドペーパーで指皮ヤスリを作ってみました。
使用したサンドペーパーは以下の4種類。
種類によって、そこまで大きな違いはないと思いますが、使ってみた感想を簡単にご紹介したいと思います。
最も安いので、作成コストだけで考えるなら超優秀な紙やすり。
厚紙の表面に研磨剤を付着した工具であり、サンドペーパーの代名詞的な存在。しかし、比較的簡単に目詰まりしてしまうのと、他のサンドペーパーと比べて研磨剤が剥がれ落ちやすい気がします。
磨き心地は悪くありませんが、指皮に研磨剤が刷り込まれてる気がして、ちょっと嫌です。
研磨方法には、水を使って研磨する「水砥ぎ」と、乾燥した状態で研磨する「空砥ぎ」が存在し、その空研ぎのために作られたサンドペーパーがこの空砥ぎヤスリです。
通常の紙ヤスリと違い、目詰まりやカラミが少なくなる表面加工がされており、研磨剤も剥がれ落ちにくく指皮ヤスリとして理想的なサンドペーパーと言えるでしょう。
非常に使い心地が良いのですが、通常の紙やすりの倍くらいの値段になります。
本来は水を使って研磨する「水砥ぎ」のために使用するサンドペーパーであり、蝋引き紙のような素材を使うことで水に濡れても破れないという特徴がありますが、指皮ヤスリとしては別に不要なスペックです。
しかし、研磨剤がシリコンカーバイトで出来ているため、優れた研削力は魅力的です。一般的な研磨剤と比べて硬く鋭い刃先が特徴で、カケやすいというデメリットも相手が指皮なら問題ありません。
通常の紙ヤスリの磨き心地に似ており、研磨剤も剥がれにくいため、指皮ヤスリに使うサンドペーパーとしては非常におすすめです。値段も通常の紙やすりより20円程度高いだけというコスパも魅力的。
通常の紙やすりの6倍近い値段の耐水布ヤスリ。
紙よりも布であるメリットはその耐久性。主に大きな負荷がかかる電動工具などに使用するサンドペーパーとして使用されますが、正直いって指皮ヤスリとしてはただのオーバースペックです。
また、表面に使用される研磨剤ですが、これもおそらく耐水紙ヤスリと同じシリコンカーバイトなので、磨き心地は紙やすりとあまり変わりません。
つまり、「値段が高いだけ」という贅沢品です。でも、その贅沢さが心地よいので、僕は耐水布ヤスリで作った指皮ヤスリを使用していきたいと思います。