小学校の夏休み、最後の最後まで残っていた宿題といえば、読書感想文ではありませんか?
意外にも僕は、最も得意だった宿題が読書感想文だったかもしれません(だから、ライターなんて仕事を生業にしてしまっている可能性もあります)。
さて、そんな僕が、読書感想文をどうやって書けばいいんだ!?と悩む小学生・・・いや、どうやって書かせればいいんだ?って思うご両親に向けて、読書感想文の上手な書き方についてご紹介します。
読書感想文を書くのが難しい!って思っている人や、小学生当時に苦手意識を持っていた人は多いと思います。
読書感想文を書くつもりが、気がついたら「あらすじ」を書いていて、なんならただネタバレをしているだけになっていた・・・なんて。
しかし、例えば面白い映画を見た後、面白いゲームをやった後、スラムダンクの山王戦が終わった後など、「ねえねえ!あれさ、あのあとどうなったんだろうね!?」とか「あの時の無言のハイタッチは震えたよね!」みたいな。
そう言う話って友達としたりしませんか?
これが「感想」です。
そうなのです。
読書感想文って難しいイメージがあるかもしれませんが、感想を誰かに話すと言う行為は、多くの人にとってそこまで難しい行為ではありません。
つまり、感想が言いたくなるような題材に出会うことが、読書感想文の第一歩です。
でも、そんなに都合よく面白い本には出会えませんよね?僕だって、感想を語らいたい程に熱中した本なんて人生でそう多くはありません。
と言うわけで、誰かが推薦する本を選べば良いのです。
例えば友達が「この本、まじ面白いよ!」って言ってきた本を読めば、その友人は「あの本読んだ?どうだった?」って聞いてくるでしょうから、面白かったなら何が面白かったのか、つまらなかったなら何がつまらなかったのかを話す必要に迫られます。
まずは、そう言った本を選ぶことが、円滑に読書感想文を書くためのスタート地点と言えるでしょう。
本を読破し、「さあ読書感想文を書くぞ!」と思っても、いきなりはなかなか上手に読書感想文を書く事ができません。
なぜでしょうか?
それは「何を書けば良いかわからないから」です。
ですので、読書感想文を書くまえに、まずは自分の頭の中にある「感想」や「本の内容」を、最もベーシックな四段構成「起・承・転・結」に合わせて整理してみましょう。
もし、お子さんが読書感想文に行き詰まっているようでしたら、以下の内容をインタビューのように質問しながら、会話形式で頭の中を整理してあげると、読書感想文がスラスラ進むと思います。
多くの場合、読書感想文の書き出しは「本との出会い」を書くことになりますので、以下の2点を整理しておきましょう。
まずは、今回読書感想文を書くために選んだ本と、どのように出会ったのかと言う点を書きます。
例えば「本屋で偶然」というようなシンプルな出会いだとしても
「書きたくもない読書感想文を書くために、うだるような暑さの中をいやいや本屋さんにいったら、読書感想文が書きやすい指定図書というコーナーがあったので、その中から選びました」
と書くだけで、それは本との出会いを感想として述べている事になり、それは本に対する感想の1つと言えるのです。。
STEP2では、わかりやすく簡潔に「あらすじ」を書きましょう。
この「簡潔に」と言うのが重要で、読書感想文が苦手な人は、原稿用紙の大半をあらすじで埋めてしまいがちなため「こんな主人公が、こんな場所で、こんな冒険をした」って感じのシンプルなもので大丈夫です。
そして、以下の3点を整理し文章化しておくのも重要です。
STEP2では、まだ自分自身の感想について述べる必要はありません。
STEP3は、読書感想文の核心部分であり、内容的にも最も力をかけるべきポイントですし、分量的にも最も多くの文字数を避くべき場所です。
主に、以下の3点を整理しておくと書きやすくなります。
例えば、自分自身や家族、友人に登場人物を当てはめたり、境遇を当てはめたりしながら、その本の内容を主観的に考えてみると、質の高い感想が生み出されます。
ここで重要となるのは「喜怒哀楽」の表現です。
例えば「〜で面白かった」や「〜でビックリした」といった感想を文章化する際には、そこに喜怒哀楽の表現が必要不可欠なのです。
例えば「主人公の母親が死んでビックリした」と言うケースの場合、大切な母親が病気で死んだなら、悲しさによってビックリした事になりますが、宿敵に撃たれたなら、怒りによってビックリした事になるでしょう。
このように、「なぜ、そう思ったのか」を具体的にして記す事で、読書感想文はより味わい深く読み応えのあるものとなります。
もし、お子さんの読書感想文をお手伝いしているのであれば、「それは悲しくてビックリしたの?」と言う形で聞いてあげるのが良いでしょう。
読書感想文のラストを締めくくるSTEP4は、いわゆる「まとめ」の部分です。
まとめを上手に書くには以下の2点を整理しておくのがお勧めです。
基本的には「その本を読んだ事によって何を得たのか」や「今後の人生にどんな影響が出そうか」といった部分を軸に書いていくのが良いでしょう。
もちろんそれは、「今こんな状態に陥っている人に読んでほしい」とか「こんな本を探している人にお勧め」といった形にまとまっていくと思います。
このように、起承転結の四段構成で読了後の感想を整理し、読書感想文を執筆する際の基本構成として持っておけば、「読み応えがあって読みやすい」そんな読書感想文を書く事ができるでしょう。
例えば、校内のコンクールを狙っていたり、担任の先生からの評価をアップさせたかったり・・・同じ指定図書を題材にした恋敵から図書委員のあの子を奪いたかったり。
まあ各々いろいろな事情があると思いますが、「読書感想文の構成」だけでは、いわゆる「読むに耐えない文章」が「読むに耐える文章」になるだけであって、そこに面白みや個性といったものは出にくいでしょう。
あくまで「読書感想文を書くのが苦手な人が、平均点を取るための方法」です。
ここからは、よりクオリティの高い読書感想文にするための様々なアイデアやコツについてご紹介していきます。
さあ読むぞ!と気合いを入れて本を手に取り、何日かかけて読破する。「よし!読み終わったし読書感想文を書くか!」って机の前に座っても、なんか2〜3箇所程度しか印象に残ってないぞ・・・。
それもそのはず、本が面白くなかったんじゃなくて、結局のところに人間の記憶力なんてのはその程度であり、その程度だからこそ面白い本は何度でも読み直せるわけです。
しかし、今回は「読書感想文を書く」と言うのが本題ですよね。
となると、「なぜ面白かったのか」を書くために、面白いと思った場所や、思わずあグッときた言い回しなどに印をつけて、自身の感想をメモするのがおすすめです。
弊社でも、「今面白いと思って書いてても、冷静になると面白くなかったって事が多々あるから、必ず次の日も読み直しましょう」と言う指導をしています。
大人になっても、書いた文章は読み直さないとクオリティを保てないのですから、小学生が書く読書感想文なら、できれば声に出して読むくらいの方がおすすめです。
特に、声に出して読む事で以下のような点に気がつけます。
自分の伝えたい内容が相手に正しく伝わるのかと言う点は、なかなか書き手だけで判断しづらいため、読書感想文を声に出して誰かに聞いてもらうだけでも、内容がワンランクアップする事間違いなしです。
読書感想文を書こうと机の前に向かったけれど、最初の一文字を書き始める事ができないまま、気がつけば1時間が経過していた・・・って事ありませんか?
そんな人は、「その本との出会いを書く」のが最もシンプルかつ簡単なのでおすすめです。
しかし小説でも感想文でも、書き出しが秀逸な文章というのは、それだけで読者は引き込まれます。
どのように書けば引き込まれる書き出しになるのかと言うと、「結論」から書き始めるというテクニックが読書感想文としては定番です。
ここでいう結論というのは、あなたがその本を読んで、「最も印象に残った部分」の事であり、それを引用したり応用したりして書き出しを書くというテクニックです。
例えば、登場人物の心に残った名セリフや名言、読了後に得た知識から現代社会に対する疑問の投げかけ、他には心に残った文章を引用するなどして書き出す事で、読書感想文はグッと魅力的なものになります。
「なぜ人は、人を裏切るのでしょうか?」とか「主人公は言いました”左手はそえるだけ・・・”と」みたいな書き出しにする事で、他の人の読書感想文とは一味違った個性が生み出せます。
文章を書き慣れていない小学生などの場合、以下の3つの文体スタイルのどれかで書くと、より味わい深い読書感想文になります。
もちろん、上述した3点を織り交ぜても構いません。
最もベーシックな形が「自分自身の独り言」として、僕ならこの場面でこうした、とか僕はこのときこう思った、と行った文体です。
そのスタイルを応用し、主人公や登場人物になりきって、あのときこう言われたけど、僕はこう思っていたんだよ?と言う形に感想を述べる方法もあります。
また、サンタさんへのお手紙ならぬ、作者さんへのお手紙方式も、読書感想文を書き慣れていない年齢だと書きやすく、質の高い文章を生み出すコツと言えるでしょう。
基本的には、どちらを語尾に使っても構いません。
主に敬体(ですます調)からは、丁寧や柔らかさが感じ取れます。一方で常態(だである調)は文章が引き締まり断定口調位になるため説得力が増します。
丁寧に感想を述べるのであれば敬体(ですます調)が良いですが、作品を評価するのであれば常態(だである調)が適する場合も多いでしょう。
一般的な意見ですが、小学校低学年は敬体(ですます調)での読書感想文が多く、小学校高学年からは常態(だである調)の読書感想文が増えていく傾向にあります。
また、小論文などでは文体の統一が望まれますが、読書感想文では効果的に敬体(ですます調)と常態(だである調)を織り交ぜる技法も一般的と言えますから、書き手が使いやすい文体を使用するのが最適と言えます。
最初に題名を考えてから読書感想文を書くと言う人も多いでしょう。また、小学生の頃そうだったと言う人も多いのではないでしょうか?
題名を最初に考えようが、読書感想文を書き終わってから題名を決めようが、それはどちらでも構いませんが、題名が決まらなくて筆が進まないなら、いっそのこと題名を後回しにするのがおすすめです。
読書感想文の良い題名と言うのはどんなものでしょうか?それは恐らく「この読書感想文を読んでみたいな」と思わせるような題名だと思います。
例えば、以下のような点を応用すると、良い題名になりやすいです。
ついつい「スラムダンクを読んで」とか「ワンピースを読んで」みたいな題名にしてしまいがちですが、ここを少し工夫するだけで、読書感想文は一つの作品としての完成度をグッとアップさせることができます。
ぜひ、自分が本を読んで感じたことや、自分が本に影響を受けた点などを思い返しつつ、良い題名を捻り出していただければと思います。
脳味噌のガンバリ筋肉は、義務教育時代にしか鍛えても大きな成長が望めません。
最近では、フリマアプリなどで「読書感想文の販売」ってのが行われておりますが、こういった「脳みそを酷使して自分の感想を文章化する行為」から逃げてしまえば、今後の人生でも同じような場面で行き詰ります。
読書感想文によく似た「どうだった?」を文章化する行為は、大学生になっても、社会人になっても「レポート」や「報告書」と名前を変えて立ち塞がりますからね。
と言うわけで、大人になった我々も、今一度「読書感想文」に立ち向かって見ませんか?