最近では家具や食品やお酒など海外から輸入されている商品を見る機会が増えました。
以前であれば、アメリカでしか食べれない!って言ってたお菓子が今では日本で普通に手に入るようになりましたよね。
海外製品が好きないち消費者としてはただただ嬉しいのですが、輸入する側は輸出側との色々な交渉を経て無事輸入、販売をすることが出来ている訳です。
そして、その商品を輸入する過程の中で、どこからどこまでを売り手と買い手が負担するかを決める必要が出てくるのですが、その時に避けて通れないのが受け渡し条件というものです。
受け渡し条件というのはインコタームズ2010という貿易のルールに定められた11個の条件のことを言うのですが、今回は輸出側(売り手)の負担が大きいと言われているDグループ(DAT・DAP・DDP)の受け渡し条件について簡単に説明していきたいと思います。
貿易が行われる上でインコタームズ2010は非常に大事になってきます。
商品を海外から輸入して国内で販売する訳ですが、かかるコストは商品の価格と運送料だけではありません。
商品を製造して、船に積み込んで、海上を運送して、日本で荷卸しして、通関手続きをして、港から各地にトラックで運ぶなどなど、様々な過程があってその全てに費用が掛かります。
それらの過程で発生する費用を売り手と買い手のどちらがどこまで負担するかを踏まえて価格設定をするのですが、そのどこまで負担するかどうかをインコタームズ2010によって取引条件を取り決めます。
そして、インコタームズ2010に定められているそれらの条件は基本的にアルファベット3文字で記されていて、11個の受け渡し条件があります。
その中でも今回は「Dグループ」と言われている受け渡し条件(DAT・DAP・DDP)について説明していこうと思います。
インコタームズ(Incoterms)とは、国際商業会議所(ICC)が制定した貿易取引条件とその解釈に関する国際規則(International Commercial Termsの略)です。インコタームズが制定される1936年以前は、貿易取引条件の解釈がそれぞれの国で異なり、しばしばトラブルの原因となっていたため、これらの誤解や行きちがいを回避する目的で制定されました。
その後、商慣習の変化に伴って、数次の改訂を経て現在は2011年1月1日発効の「インコタームズ2010」が最新版となっています。前回改訂2000年版から10年ぶりの改訂となった2010規則は、輸送実務の変化、無関税の自由貿易国の拡大など時代の変化に合わせた構成や変更がなされています。
これからDグループの3つの受け渡し条件(DAT・DAP・DDP)について説明していきますが、実はインコタームズ2010の規定に変わる前のインコタームズ2000では5個の受け渡し条件がありました。
しかし、インコタームズ2010では、DEQの代わりにDAT、DAF・DES・DDUの代わりにDAPになっています。
DDPに関してはインコタームズ2000から変わっていません。
このDグループは輸出側の負担の割合が高いので輸入経験が浅かったり、取引相手が貿易に慣れている場合などによく使われます。
それでは、Dグループの受け渡し条件(DAT・DAP・DDP)について書いていきます。
DATというのはDelivered at Terminal(デリバードアットターミナル)の略でターミナル持ち込み渡しのこと。
この条件は、輸出者(売り手)が輸入者側のターミナルまでの費用と危険を負担することを言います。
ターミナルというのは、埠頭、港湾地区の倉庫、コンテナヤード、鉄道の駅などのことです。
この条件では、商品の荷卸しは輸出側(売り手)負担となります。
荷卸しをした商品を輸入者側(買い手)が引き取ったら、輸出側の任務は終わりです。
それ以降の費用や危険の負担(破損など)は輸入者側(買い手)に移転します。
輸入者がしなければいけない仕事としては以下の通り。
DAPというのはDelivered at Place(デリバードアットプレイス)の略で仕向地持ち込み渡しのこと。
この条件は、輸出者(売り手)が輸入者側の指定の場所までの費用と危険を負担することを言います。
その際の荷卸しは、DATと違い輸入側(買い手)の負担となります。
つまり、輸出側としては荷卸しの準備ができた状態で輸入者側に引き渡し、それ以降にかかる費用や危険の負担(破損など)は輸入者側に移転します。
この条件の場合は、ターミナルに荷卸しした貨物をまた他の場所へ(仕分けセンターや配送センターなど)輸送する場合などに適しています。
輸入者側がしなければならない仕事としては以下の通り。
DAPというのはDelivered Duty Paid(デリバードデューティペイド)の略で関税込みの持ち込み渡しです。
この条件は、輸入者側(買い手)の指定の場所に届くまでの全ての費用と危険を負担することを言います。
つまり、輸入者側(買い手)が最も楽な受け渡し条件ということです。
買い手は何もしなくていいことになります。
貿易の経験が浅く、書類の準備などに時間がかかるなど色々と不安な場合はDDPを条件にしてみるとリスクが低くなりますね。
つまり、相手(輸出側)が貿易に精通したベテランであればDDPで交渉するのもアリですね。
ということで、輸入者側がしなければならない仕事はありません。
めちゃくちゃ楽ですよね。勝手に荷物が来てくれるし、お金もかからないのですから(笑)
とは言っても、貿易は相手がいてこその商売ですから、思い通りにならないことは当たり前ですがあります。
輸出する側が関税を払いたくないと言ったら、DDPで取引するのは無理ですよね。そこらへんの交渉力はあなた次第です(笑)
また、自分が輸出側でDDPを快く受け入れすぎて、関税を支払ったら利益なくなったみたいなことが起きないようにしっかりとコスト計算をするようにしてくださいね。
ということで、輸出側の負担が大きいDグループ(DAT・DAP・DDP)の受け渡し条件でした。