▼すべてのカテゴリーを見る

挑戦が勝利に?反転しても読める文字の芸術『アンビグラム』の魅力

挑戦」と書かれたポスターを逆さまにすると文字が「勝利」になる。そんな一風変わったポスターが、佐賀県唐津市にある「ボートレースからつ」にて、2018年のGI全日本王者決定戦のためにデザインされ、インターネットを中心に話題となっています。

このポスターに使用された、文字を反転させても読める「アンビグラム(ambigram)」 と呼ばれるデザインについて。今回はこのポスターをデザインしたノムライッセイ氏の作品とともに、アンビグラムの世界について皆様に少しだけご紹介していきたいと思います。


反転しても読める文字『アンビグラム』とは?

アンビグラム

画像引用元:http://www.br-special.jp/

このポスターを作成したのは、様々な日本語のアンビグラム作品を生み出しているノムライッセイ(野村一晟)氏。

上記ポスターに書かれている文字ですが、「挑戦」は反転させると「勝利」になり、「最強」は反転させると「戦場」になります。嘘だと思ったら一度印刷して反転させてみてください。

このような文字のデザインをアンビグラムと呼ぶのですが、文字を反転させて意味が変わるものをアンビグラムと言うのではなく、ある文字が2通り以上に解釈して読める文字のことをアンビグラムと呼びます。この辺りは、勘違いしやすいので注意が必要ですね。

学者のダグラス・ホフスタッターはアンビグラムについて「2つの異なる読み方を同一のひとそろいの曲線に何とかして押し込める筆記体デザイン」と述べています。

代表的なアンビグラムの種類

アンビグラムには様々な種類が存在しています。その中でも特に代表的なのが以下の5種類です。

  • Rotational(ローテーショナル)
  • Mirror(ミラー)
  • Figure-ground(フィギュア グラウンド)
  • Perceptual shift(パーセプチャルシフト)
  • Chain(チェイン)
  • その他

これらの手法は、様々な企業やブランドなどのロゴマークにも応用されていることがあるため、アートとしての面白さもさることながら、デザインアイデアの宝庫でもあり、デザイナーさんたちは覚えておいて損の無い知識だと思います。

では早速、代表的なアンビグラムの種類について紹介していきます。

参考程度に画像も作成しましたが、正直僕自身もアンビグラムについて権威があるほどの知識は持っていません。(wikiや多少の本を読んだ程度です)もし間違いに気が付いてくださる方がいましたら、連絡していただけると幸いです。

Rotational(ローテーショナル)

Rotational アンビグラム

回転させても同じ読み方ができるもの、もしくは回転させることで全く違う読み方になるものを「ローテーショナル」と呼びます。つまり、先ほどご紹介したノムライッセイ氏がデザインしたGI全日本王者決定戦のポスターは、アンビグラムの中でも、ローテーショナルという種類に属します。

一応、上の画像はCLUMP(群れる)という文字を、180度回転しても同じように読めるようにしてあります。

Mirror(ミラー)

Mirror アンビグラム

文字の中央で鏡に写したように反対に見える左右対称に作られたデザインを「ミラー」と呼びます。垂直軸線対称や水平軸線対称、もしくは斜め軸で線対称になっているデザインなどがあります。

上の画像は、EDGE(刃)という文字を、DとGの間で線対称になるようにデザインしてあります。アンビグラムの面白さ的には、最後のEを反転させているのはズルだと思いますが、僕にはこれが限界でした。

プロテインやサプリメントで有名な「ザバス(savas)」のロゴマークがでよく知られた手法だと思います。

Figure-ground(フィギュア グラウンド)

Figure-ground アンビグラム

文字と文字の空白部分であったり、背景の部分が別の文字や図形として読めるものを「フィギュア グラウンド」と呼びます。今回は「ONEのなかに数字の1」「TWOの中に数字の2」を背景として潜り込ませてみました。僕が作ったものよりも、世の中にはもっと複雑なアンビグラムがあるので探してみてください。

このように、認識しづらく文字や図形を潜り込ませることで「サブリミナル効果」を狙っているなんて言うデザイナーもいます。例えば、輸送会社の「フェデックス(FedEx)」のロゴの「Ex」の中には矢印が隠れており、これが物流のスピード感を演出しているとされています。

Perceptual shift(パーセプチャルシフト)

Perceptual shift アンビグラム

文字の曲線や、形の解釈の仕方によって、2つ以上の異なる文字や言葉として読むことができるものを「パーセプチャルシフト」と呼びます。

例えば上のようなデザインですが、人によって「666」にも「999」にも読めると思います。日本は「だまし漢字」や「ことば漢字」として親しまれており、いとうさとし氏の作る作品が有名です。

Chain(チェイン)

Chain アンビグラム

文字や言葉を繰り返し並べることで、途中からでも読めるように接続したタイプを「チェイン」と呼びます。

上の画像はMISTERY(ミステリー)と言う文字が、連続して繋がっているように見えるようになっています。このように1つの単語を繰り返すだけでなく、複数の単語を接続してある場合もあります。

この「繋がる」と言う性質を利用して「輪(環)」のようにデザインする場合も多く、タトゥーのデザインなどにも多く用いられています。

その他のアンビグラム

ここまでにご紹介したアンビグラム以外にもジャンル分けされている手法が有ります。

  • Space-filling(スペース フィリング)
  • Fractal(フラクタル)
  • 3-dimensional(3ディメンショナル)
  • Natural(ナチュラル)

冒頭でも紹介しましたが、アンビグラムというのは「文字が2通り以上の方法で読める」のであれば良い分けですから、きっと今後も様々な新しい手法が開発されていくと思います。

Space-filling(スペース フィリング)と言うのは、先ほどの「Chain(チェイン)」と言う手法によく似ていますが、平面を埋め尽くすようにアンビグラムを隙間なく敷き詰めたものを指します。

Fractal(フラクタル)はさらにChain(チェイン)やSpace-filling(スペース フィリング)を発展させたもので、フラクタルの名の通り、同じ文字のサイズを使用して、敷き詰められた文字の全体像が文字を表している状態にしたものを指します。例えば「tree(木)」という文字を使って木の絵を描くような感じです。

3-dimensional(3ディメンショナル)はオブジェなどに応用されることの多い手法です。正面から見たらただの木の箱なのに、斜めに回り込んで見ると文字になるような作りのものはこのジャンルに属します。

Natural(ナチュラル)はその名の通り「自然な状態で書かれているのにアンビグラムになっているもの」を指します。例えば「suns」はそのままでローテーショナルですし、「TOOTH」は縦書きにすれば垂直線対象のミラーとなります。

ノムライッセイの描くアンビグラムの面白さ

さて、ここまでのご紹介で「アンビグラムってなに?」という方でも、なんとなくこのジャンルのアートやグラフィックデザインについて大まかな概要は理解できたかと思います。

特に、アンビグラムというデザインは、トリックアートのような視覚で楽しむ錯視のような側面と、形状と内容の関係性など、面白みに満ち溢れた手法だと思います。

さて、話を冒頭の2018年のGI全日本王者決定戦のポスターを作成したノムライッセイ(野村一晟)氏に戻しましょう。今一度、氏のデザインしたポスターをみてください。

画像引用元:http://www.br-special.jp/

ここからは個人的な感想になりますが、ノムライッセイ氏のデザインは「人間が脳や体を使って文字を解釈する」ことで2つの言葉が関連づいているところに面白さがあるのではないかと思います。

文字を回転させているのに読めるというトリックアート的な側面と、文字が回転したり、隠れていたり、反転したりすることで言葉同士が紐付くという文学的な側面の面白さが、高い次元で両立されているところが、本当に素晴らしいと感じます。

ノムライッセイのアンビグラム作品

あまり語りすぎるのもよくないので、ここからは僕が個人的に好きな、ノムライッセイ氏のアンビグラム作品を紹介していきたいと思います。


才能と、努力。これはまさに「対になる言葉」として素晴らしいと思います。感動します。


フィギュア グラウンドで作られた「風呂」のもじ。風呂は「入る」ものですから。ユーモアがあります。

夫婦は常に共にあり、二人で一つ。言葉ではわかっていても、「二人で一つの夫婦」を見たことはありませんでしたが、初めて目で見ることができました。

 

文字としては「ひと」と「さる」ですが。その2つの裏には本能と理性が見え隠れするような気がします。自分が猿なのか人なのかは、その人の生き方で変わる気がして、とても面白いです。

答えは、問いの中にあるということですね。たった1つの図形が文章となり得る面白さを持っています。


巡るという感覚を文字に与えることができるというのは大変すごいことだと思います。

ここで紹介している以外の作品も、ツイッターやフェイスブック等で紹介されていますので、ノムライッセイ氏の作品の面白さに気が付いてしまった方は、ぜひフォローしてアンビグラムの世界にどっぷり浸かってみてはいかがでしょうか?

面白かったら、役に立ったら、何も感じなかったら「いいね!」してね!

仕事そっちのけで記事を書いた人

仕事なんてただの暇つぶし、本業はクライミングとスニーカー集めです!夢はでっかく世界征服!あー、高級車に乗ってタワーマンションの最上階から一般人を見下ろしたい!よろしくお願いします!

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です