皆さんご存知だと思いますが、僕は根っからの開放型ヘッドホンフリークです。今最も使用頻度の高いヘッドホンはAKGのQ701であり、周囲の環境と馴染む開放的な音の鳴りを愛してやみません。
そんな僕ですが、先日ヘッドホンの調査をするために「ノイズキャンセリングヘッドホン(BOSE)」を手に入れる機会がありました。
正直ノイズキャンセリング機能というと、周囲の雑音をかき消すために音質を犠牲にしたダメヘッドホンというイメージがあって購入するのを避けていたのですが、仕事だったら仕方ありません。
その日はたまたま暇だったので、買ったらすぐに開けて使用してみたのですが、正直驚きました。これが最近のヘッドホンってやつなんでしょうか?正直言ってこんなのはヘッドホンというに相応しくありません。
とにかく最低の出来栄えです。このヘッドホンという高尚なものをダメにしてしまうノイズキャンセリング機能とやらに、僕が物申したいと思います。
ツイッターなどをみても「ノイズキャンセリング」を賞賛する声ばかりが目につきます。何が「快適」なものでしょうか?ノイズキャンセリングによって与えられる影響はどれも「最低」なものばかりです。
本当に、これ以上ノイズキャンセリングヘッドホンを騙されて買ってしまい不幸な目に合う人が増えないよう、僕がノイズキャンセリングヘッドホンの真実をここに記したいと思います。
言いたいことは山ほどあるんです。BOSEとかSONYとかこのジャンルを牽引しているブランドの責任者を呼び出して正座させて説教したいくらいですよ!!
でもまあ、ヒステリックにならないように、皆さんに最低限知っておいてほしい「買うべきではない理由」を10個ご説明します。
ノイキャンヘッドホンを実際に使用して、最初に僕がイラついたのは「周囲の会話が全く聞こえない」ってことです。
そもそもコイツは、ノイズ(雑音)をキャンセリング(消す)というヘッドホンじゃないんですか?社長のスベらない話が雑音とでも言うのでしょうか?僕にとっては雑音なんかじゃありませんよ!大変面白くためになるありがたいお話ですよ。
それを、事もあろうにこのノイキャンヘッドホンとか言う輩は、社長の面白話をノイズだと判断してキャンセルしやがるんですよ。本当に最低なヘッドホンだと思います。
いいですか?
ヘッドホンってのはですね、音楽を楽しみながらも「周囲との一体感」を感じる楽しみだってあるんですよ。
心地よい音楽の合間に聞こえる、小気味好い社長の小噺。僕はこの事務所で一人で仕事をしてるわけじゃないんだ!って思える瞬間なんですよ。
それをこのノイキャンヘッドホンってやつは奪っていったんです!
ノイキャンヘッドホンを購入した日の夕方、次なる悲劇は起きました。
そうです。4万円近い金額を出してヘッドホンを買ったのに、結局耳に付けてるだけで音楽を聴いてないことに気が付いたのです。ノイズキャンセリング機能だけをオンにして、音楽を流し忘れてしまっていたのです。
ヘッドホンってのは音楽を聴くためにあるのです。耳を温めるだけなら、イヤーマフを付けていればいいんです。
しかし、何でしょう。
ノイキャンヘッドホンは、人間の聴力では聞こえない周波数の音で、ずっと耳に着けていたくなるような魔法でも唱えているのでしょうか。
不自然なほど心地よく感じるのです。これはとても危険な兆候であり、おそらく洗脳の類だと思うので要注意です。
会社での作業中にも音楽が流れていた方がノリノリで作業できるため、僕はいつでもヘッドホンを使用しています。しかし、先ほどの「音楽をかけ忘れていた」時に雪崩式に悲劇がまた発生しました。
敵「ヘッドホンで音楽聴くのはいいけど、俺の声が聞こえる音量で聞けよ!」
何と言うことでしょうか。
こっちは音楽をかけるのを忘れていたと言うのに、相手は僕に音量のことで怒っているのです。僕はいったい何に怒られているのでしょうか、もう完全にパニックです。
こんな風に怒られたのも、全てはこのノイキャンヘッドホンが悪いのです。僕が普段使っているAKGのQ701なら、音漏れしないギリギリの爆音で音楽をかけていても、隣の席の人の独り言を聞き取れるのに。
こんな理不尽な思いをさせたノイキャンヘッドホンを僕は絶対に許しません。
皆さん、ヘッドホンを着けているストリート系のイケメンボーイを想像してください。
どうですか?きっと多くの人は「カラフルで巨大なヘッドホンを着けたパーカー姿のイケメンが、電車の椅子に座って首を揺らしながらシャカシャカ音漏れさせている姿」を想像し他のではないでしょうか?
そうです。この「シャカシャカ音漏れ」こそがヘッドホンのアイコンと言えるでしょう。
しかしですね、このノイキャンヘッドホン。周囲の音が全く聞こえないせいで、音楽をかける時の音量も小さくなりがちなのです。電車の中みたいな騒音まみれの場所ですら、カフェミュージックより小さな音量でも聞こえてしまうため、爆音の出番がないのです。
ヘッドホンを外した時に、ヘッドホン自体がシャカシャカ鳴っている、その姿を見ると「自分は今、こいつと一緒にいるんだ」と実感できるのです。
外した時にシーンとしているヘッドホンなんて死んでいるのと同じではないでしょうか?これには心底ガッカリです。
先ほども軽く申し上げましたが、とにかくこのノイキャンヘッドホンというものは、装着すると静寂すぎるんです。
ヘッドホンというのは、日常に彩りを与えるツールです。例えば、電車の中で萌えアニメを見ていたりすると、普段なら「あれ?この音まさか、スピーカーから爆音で流れてるんじゃないか?」なんてドキドキワクワクしますよね。
それで、ヘッドホンを外して確認してもスピーカーからは音が出てなくて「何だよー!勘繰っちゃっただろー!」なんて、ヘッドホンとのイチャイチャタイムが発生します。
しかし、ノイキャンヘッドホンはそんなことありません。耳元には完全なる静寂、そしてクッキリハッキリとした音質。どう考えても耳元で鳴ってるとしか思えない音なのです。
ノイキャンヘッドホンは、ヘッドホンの楽しみをまた1つ奪っていったのです。
ノイキャンヘッドホンが僕の元に到着して最初の週末。外出時の使用感を確認するために電車に乗ったわけですが、片道30分の道なのに往復で2時間もかかりました。
これについては、本当に最悪な気分になったのでちゃんと説明したいと思います。特に今後、ノイキャンヘッドホンの購入予定がある方は、この深刻な脆弱性を知っておく必要があります。
まずですね、ノイキャンヘッドホンを装着して音楽やアニメを再生し、電車に乗りますよね。満員電車だったり、隣のおっさんが汗臭かったり、電車内はストレスの宝庫です。それらから逃げるように音楽やアニメに没頭するわけですよね?
しかし、意識を車内アナウンスや外の景色に集中しないと、楽勝で降りる駅を通過してしまいます。1駅通過するくらいならいいですが、全然違う駅まで乗り過ごしてしまうことすらあります。
これだからノイキャンは・・・と思いながら、反対のホームに向かいますよね?
それで、次の電車が来るまでソシャゲでもやりながら待っていると、いつの間にか電車が通り過ぎているんです。いったい何が起きてるのかさっぱりわかりません。とにかく、電車がまともに乗れなくなるのです。
これは本当に、メーカーにクレームを入れようかと迷ったくらいです。
1日中ノイキャンヘッドホンを着けながら、電車に乗ったり、街を歩いたり、カフェに寄ったり、とにかく様々なことを検証していて思いました。
正直ですね、東京の街ってのは、こんなもんじゃないんです。
お前は浜松から豊橋に向かう23号線沿いの側道の田んぼ道か!ってくらいの静けさなんですよ。こんなの、僕が憧れた花の都とは思えません。
普段のヘッドホンなら、東京の呼吸を肌で耳で感じられるんです。しかし、ノイキャンヘッドホンは「東京」と言う街を台無しにしてしまいます。これならまだ地元名古屋の方が都会感がありますよ。
僕が、夢を追って東京に出てきた、その生き様すら否定して来るんですこのヘッドホンは!
僕はですね、町中にこのポスターを掲げたいくらいです。
「ノイズキャンセリング。ダメ。ゼッタイ。」
もうですね、病気です。あの時、周囲に勧められたからといってノイキャンに手を出さなければよかった。でももう僕は完全な依存症だと思います。
嫁がドライヤーしているときにもノイキャンスイッチをポチ。母親が掃除機をかけている時もノイキャンスイッチをポチ。選挙カーが近所を通った時もノイキャンスイッチをポチ。
美術館の音声ガイドですら、自前のノイキャンヘッドホンを持っていってしまうほどです。
新作ヘッドホンのハウジングのデザインに一喜一憂していたあの頃。ドライバの口径変更やインピーダンスなどのスペックに期待したあの頃。そんな、ヘッドホンに対する愉しみをノイキャンは全て奪っていったのです。
もう僕は、どんなにダサいデザインでも、音質が中の下でも、ノイキャンが搭載されているヘッドホンの中からしかヘッドホンを選べない体質になりつつあります。
先ほども説明した「ノイキャン中毒」の末期症状についてお伝えします。
誰もいない家でオーケストラやジャズなどの繊細な音楽を聴く時。普段なら高価なスピーカーで音を鳴らしたり、開放型のモニターヘッドホンなどで音を鳴らしたりしますよね?
でも、それがだんだんノイズキャンセリングヘッドホンになっていくのです。
どうですか?恐ろしいと思いませんか?
エアコンの音、換気扇の音、風の音、だんだんそれらが怖くなっていくのです。誰もいない家なのに、ヘッドホンを着けて無音の部屋でPCを触っている僕。客観的に見るとサイコさんです。
特に男性の場合は、この重大の危険性を理解しないままにノイキャンヘッドホンを購入してしまうと、最悪の場合命を落としかねないため、大変注意しなければなりません。
そもそも、普通のヘッドホンならこんなことにはならないのです。本当に、おそらく公表されていないだけで、何人かは犠牲になっていると思います。
メーカーさん、このまま放置していいんですか?
今回僕が告発する「命を落とす危険性」と言うのは、裸でパソコンを触っている時のことです。
蒸し暑い夏の夜とか特に、寝る前に裸でパソコン使いながら、のんびりアイスを食べたり動画を見たりすることが多いかと思います。
そんなときにノイキャンヘッドホンを使っていると、階段を登ってくる母親の足音が一切聞こえないのです。いや、もはや扉を開ける音すら聞こえないかもしれません。これは由々しき事態です。
皆さんも、ノイキャン使用時は本当に注意してください。
僕自身、ほんの出来心で、周囲の人たちから勧められたノイキャンヘッドホンを断れず、つい手を出してしまいました。しかし、今思えばこれが僕から全てを奪っていったのです。
確かにあのとき、「仲間はずれにされたくない」「断ったら後が気まずい」と言う気持ちが湧いたのは確かです。このままだと時代に取り残されるような疎外感もありました。
しかし、強い意思を持って「NO!」と言う、もしくはその場から逃れる事ができていれば、僕は今日もきっと笑顔で開放型ヘッドホンを使い音楽を聴いていたのだと思います。
本当は今からでも、会社用のヘッドホンをAKGのQ701に戻したいくらいです。解像度が高くクリアなボーカル音。しっかりと中高音域を鳴らし、くっきりとした輪郭を持った低音。そして開放型特有の抜けのいい聴き心地。
家にいるときは「明日こそ出社したらAKGのQ701を使うんだ」って思っているんです。でもいざ出社して見ると、手が伸びるのはBOSEのQuietComfort35。もうそんな日が何日も続いています。
今では、ノイキャンヘッドホンを着けている時の自分が本当の自分なんじゃないかとすら錯覚しはじめています。
さらなる犠牲者を出さないために、ここに再度記しておきます。
ノイズキャンセリングヘッドホンは「ダメ。ゼッタイ。」