こんな話、聞いたことありませんか?
もしもゴキブリが人間のサイズだったら、時速320kmで走り回り、2時間半もあれば東京から金沢まで移動できてしまうと。
まさにディストピア。
この話を聞かされてからというもの、毎日毎日夢に巨大化した昆虫が出てきてうなされて眠れなくなったので、国会図書館に逃げ込んで巨大化する未来があるのかについて調べてみました。
そもそも、現時点でのサイズですら昆虫は僕にとっての脅威なのに、それが巨大化するとかもう地球に住めないこと間違い無しでしょう。
特にビジュアル面。
まあちょっと、身近な昆虫たちが巨大化したらどうなるのか考えてみましょうか。
例えば、夏の刺客「蚊」ですけど、こいつがもし人間サイズだったとしたら、一回の吸血によっておよそ0.6リットルの血液が奪われます。
体重60kgの人の体内には、約4.6リットルの血液がありますが、そのうちの1/3を失うと人間は失血死すると言われていますから、人間サイズの蚊3匹に襲われたらアウトです。
小学生に圧死させられたり水没死させられたりと、虐められる昆虫No1なアリですけど、こいつらも人間サイズになったらマジでヤバイ。
僕らがよく見かけるアリことクロヤマアリは、自分の体重の5倍のものを持ち上げることが出来るし、自分の体重の25倍のものまで引きずって運ぶことが出来る。
つまり体重が60kgだとしたら、死んだキリンを1匹のアリが引きずれるってことになります。こんなのが軍団で現れたら東京が整地されちゃいます。
人間サイズになったアリのパワーもすごいですが、蜂はもっとヤバイです。
ミツバチは体重の300倍の物を引っ張ることができると言われていますから、客を満員に乗せた路面電車2両をミツバチ1匹が牽引できるって事になります。ヤバスぎ。
しかもオオスズメバチの毒針の長さは40cm近くになってします。お尻からぶっ刺されたら口から出てきそうな長さですよ。
あと、巣の大きさとかも想像するだけでゾッとします。ああ気持ち悪い・・・。
テラフォーマーズじゃありませんが、この「昆虫が巨大化していたらどうなるか」みたいな会話、確かに昆虫の恐るべき能力にフォーカスした夢のある会話のような気もしますが、昆虫が苦手な僕からしたら最悪の未来です。
っていうか、真面目に想像したら「巨大化したセミのお腹の部分が蠢いている感じ」がエグすぎて妄想だけでトラウマになりそうなんですけど。
夢に出そうだ。
人間サイズまで大きくなる進化を遂げるだけでここまで強くなるのであれば、もしかしたら昆虫たちはもうすでに巨大化を虎視眈々と狙っているのかもしれない。
そして、いつの日か地球を人間の手から奪い去ろうとしているのでは?
おい!地球の国同士で喧嘩している場合じゃ無いぞ!俺たちの敵はアメリカでもシリアでも北朝鮮でも無く、目の前でウロウロしている昆虫だぞ!今こそ「地球軍」として手を取り合って戦うべきじゃ無いのか!?
そうそう、ふと思い出したんですが、僕の大好きなアノマロカリスたんが出てくる古生代カンブリア紀とかの昆虫は超巨大だったんじゃ無いですか?
ほらあの、風の谷のナウシカとか、のび太の創世日記とか、そういうのに出てくる感じの巨大なトンボとか、やばいサイジングの芋虫とかそういう感じですよ。
3億年前に存在したと言われるトンボの祖先的な「メガネウラ」は体長が60cm近くあったそうですが、現代において最大の昆虫と言われるのが「ジャイアントウェタ」というコオロギのような見た目の昆虫で体長は10cmほどです。
まあ体長10cmのコウロギとかが家に急に出現したら失神待った無しなんですけど、どうやら過去から現在にかけて昆虫は巨大化ではなく微小化という進化を辿ったようで安心しました。
つまり、昆虫にとっては大きくなるよりも小さくなることの方が、種を存続したりするのに適していたってわけですな。
いやいや、とりあえず今後昆虫が巨大化し始める可能性が非常に低いということが理解できて一安心でございますよ。
さて、ここからはより具体的に「なんで昆虫は巨大化しないの?」という事に関してなのですが、そもそも昆虫は巨大化しないんじゃ無いくて巨大化できない様子です。
超安心。ほんと巨大化だけはしないで、怖いから。じゃ、ちょっと僕が知り得た情報をまとめて紹介しておきましょう。
昆虫がそのままの形で人間のサイズ(n倍)に巨大化すると、体重自体はnの3乗倍になるのに、体重を支える筋肉や骨格強度は断面積に比例するためnの2乗倍にしかならず、巨大化した昆虫は自分の体重が支えられず巨大化した瞬間にバラバラになる。
要するに
昆虫にビッグライトを使ったら死ぬ。
って事である。
他にも、体液が外骨格の薄い部分を突き破ってしまう可能性もあったりして、かといって外骨格を厚くするとその分体重も増えてしまうという八方塞がりなのである。
しかしこの、外骨格によって巨大化できないという説は、今の所証明する十分なデータが無いとされています。
人間は、口から肺に空気を取り入れて、その中の酸素を血液に乗せて全身に運ぶわけだが、昆虫は肺を使わずに直接空気を全身に送って酸素を各組織に取り入れるという仕組みを持っています。
昆虫の体の側面には無数の穴があって、その管はミクロサイズの小ささとなって無数に枝分かれしており、そこを空気が通る事で全身の細胞に酸素が届くわけです。
この構造も巨大化には大きな障害となるようで、体が大きくなってしまうと酸素が体の奥まで届かなくなってしまい、気管から遠い組織は壊死していってしまうんだとか。
この酸素問題は「昆虫と巨大化」において、外骨格問題よりも重要だとされており、古生代の地球は現在と比べて酸素濃度が濃かったため昆虫は巨大だったとも考えられているほどです。
昆虫の体が3乗倍に巨大化するとなれば、もちろん胃袋の体積だって3乗倍で巨大化するわけで、そうなると地球如きの狭い面積では圧倒まに地上の食料は昆虫に食べ尽くされて、地球は死の星へとまっしぐらだそうです。
しかもコイツら、結構肉食なのも多いですからね。ゴキブリに食われて死ぬとか・・・ああもう想像するだけで最悪の最後ですわ。
昆虫が巨大化したら自決用の拳銃を配布してください。
まとめると
って事になります。
となると「不便な体だな〜」って思ってしまいますが、そんなことはないんです。
昆虫の外骨格にはクチクラという膜が張られており、これによって雨風や乾燥を防ぎ、砂漠のような過酷な環境下でも生き延びることができて生息範囲を拡大してきました。
そして体を小さくすることで、空気抵抗を受けにくく翅を羽ばたかせるだけで飛ぶことができ、それによって生息地を広げているわけです。
もちろん、少ない食料で生き延びることもできます。
つまり、昆虫は小型であるからこそ「どこにでも出没する」ほどに生息数を増やして繁栄を築き上げたというわけですな。
昆虫嫌いな僕としては、巨大化されるのはまっぴらごめんですが、小型化して繁栄されるのも嫌ですね。うむ〜。困ったもんです。