僕達みたいにGoogleのウェブサービスを使う人たちなら避けては通れないこの認証。
最近、何かと話題の「漫画が無料で読めるサイト”漫画村”」に、「私はロボットではありません」と言うチェックボックスと謎のクマが表示されて、reCAPTCHAを知らない人たちが「ウイルスだ!」とか「勝手にマイニングさせられるぞ!」とか騒いでますね。
まあ、ちょうどreCAPTCHAについて多くの人が調べてるみたいなので、僕が撮りためた「reCAPTCHAの難問」を皆さんにご紹介すると共に、この「私はロボットではありません」と言う認証がなんのために存在するのかについて、ご紹介したいと思います。
ウェブサービスを使用していると唐突に出てくる「私はロボットではありません」というチェックボックス付きのこの画像。これは、左側のチェックボックスをオンにすることで、悪質なプログラムなどからウェブサービスを守る「reCAPTCHA」と呼ばれる仕組みです。
ま、もう少し簡単に説明すると。
ツイッターなどでロボットを使って連続で呟いたり、不特定多数を機械的にフォローしまくったりという事を止めるためだったり、ブログなどで機械を使ってアクセス数を稼ぐのを止めるためだったり、大量のアクセスを送り込んでサーバーをダウンさせようとする攻撃を止めるために「機械をブロックする」目的で使われるツールです。
最近では、限定物のファッションアイテムがオンラインストアで販売される時などに、BOT対策としてもreCAPTCHAは使用されています。
昔は、変な形に曲がった文字や、画像内に記された文字を入力するという方式が一般的でしたね。
ウェブサービスを使用するのがパソコンからスマートフォンへ変化し、それによって文字入力が面倒になったため、最近では特定の画像をタップして選択するという方式が一般的になってきたと思います。
アドビ創始者の1人であるチャールズ・ゲシキや、「ことえり」を開発した苫米地英人などの出身校であるカーネギーメロン大学の、ピッツバーグ本校によって2007年にオリジナルのreCAPTCHAが開発され、2009年にGoogleがこのテクノロジーを買い取ったことで、とりわけGoogle系のウェブサービスでは頻繁に見かけるようになりました。
さて、このreCAPTCHAですが、仕組みはいたって単純(本当は単純じゃ無いけど)。
ものすごーくシンプルに話すと、機械は「この画像に何が描かれているのか」を認識するのが苦手です。最近流行りのディープラーニングや機械学習というのは、この「画像を判断」するための仕組みであり、まだまだ発展途上の技術です。
というわけで、画像をスムーズに認識できれば人間、うまく認識できなければロボット、といった具合に判断している(と考えて概ね差し支えない)のです。
しかしですね、このreCAPTCHAに出てくる問題が、たまに難問なんです。
例えばこれ。
標識の棒の部分は標識に含みますか!?
って思いませんか?バナナがおやつに入るのかどうかぐらい難問です。担任の先生がいたら挙手して質問したいくらいですが、残念ながらreCAPTCHAは質問を受け付けてくれません。
もうね、「湖の写真を選べ」って言われて、出てくる画像が海なのか湖なのか流れの弱い川なのか全然わからなかったり、「木の写真を選べ」って言われて、その中に山の写真があったりして、これは木に属すのか?みたいな禅問答さながらの回答を強いられることもしばしば。
まあ、これくらいならいいんですけどね、僕が遭遇した問題の中には、こんなのを凌駕する圧倒的難問が待ち構えていたんです。
ここから紹介する画像は、加工したり合成したりした画像ではありません。実際に弊社の業務中に僕が遭遇したものをスクリーンショットに納めたそのままの状態です。
RAWな状態です、マジです。信じてください。
えーっと?橋?どこにあるの?
この、標識の中のロープウェー的なものを橋だと認識して選択すればいいの?いやでもどう考えてもこれは橋じゃなくて道路標識でしょ?
ああん!今度は道路標識だけど、どうみてもこれは繁華街にある大人を嗜んだ感じのお店達のネオン看板!!
すごい入りにくいやつ!
まさかの一台も通ってないやつ!
もう、こんな広い道の写真で車が通ってない方が珍しいくらいなのに一台も通ってないよ!
え?でも自転車なら・・・・・いやまて、今回の問題は自動車なんだから、危ない危ない、一文字違いだかといって気軽にタップしたらロボット認定されちゃうぜ!
おいちょっと待て。
どこをどうみたって橋なんて存在しないぞ?おっと待てよ?まさか、この街自体が橋の上だとしたら・・・・・いや、それは流石に俺の考えすぎか・・・いやでも罠かもしれない!!全部タップするか!?
謎のワンチャン!
しかも標識だけど道路標識では無い!!っていうか、道路標識と標識の違いってなに?道路交通法に関係あれば道路標識?道路にある標識が全部道路標識なら、これも道路標識かもしれないけど・・・・・
いやもう難問かよ!!
ま、そんなこんなでreCAPTCHA難問を紹介してきたわけですが・・・。
ウェブサイトやブログを運営してれば、グーグルに使わせてもらっている様々なツールでreCAPTCHAの難問認証に挑まされてきていると思います。
今回は、それを題材に記事を書こうと思っていたのですが、「reCAPTCHA」とか「私はロボットではありません」というキーワードの関連語句や想起単語を調べてみたら、見たことも無いような言葉が出てきました。
どういうこと?と思い調べてみたら、どうやら最近話題の漫画村(漫画が無料で読めるグレーゾーンなサイト)においてreCAPTCHAが導入されたようで、謎のクマのキャラクターが「reCAPTCHAにチェックして欲しいクマ」と怪しげに呟く画像が出るらしく、これにチェックを入れたらウイルスに感染するだとか、仮想通貨をマイニングさせられるだとかって噂が飛び交ってるようです。
まあ、確かにreCAPTCHAの画像って見慣れないせいかウイルス感がプンプンするし、ついでにあの怪しげなクマもちょっとしたホラーですから、漫画村とかいうグレーなサイトみてて初めてreCAPTCHAの認証に遭遇したら、思わずブラウザを閉じてしまう気持ちもわかります。
ってわけで、とりあえずこの辺も、事実と主観を綯い交ぜで解説しましょう。
画像引用元:漫画村
確かに、こんな画像が急に出てきたら、魔法少女まどか☆マギカのインキュベーターよろしく、チェックボックスにチェックを入れたら最後、いいように扱われて骨の髄までしゃぶり尽くされそうな恐怖がありますが・・・・・。
実際のところ、そういうためにこのチェックボックスを用意しているのではなく、おそらく「アクセス攻撃の回避」のためでは無いかと予測できます。
漫画村が日本の法律の隙間を縫って「漫画が無料で読めるサイト」を作れば、それによって不利益を被る人がいるわけです。でも現時点で日本の法律が漫画村を捌けなければ、なんとかしないと不利益を被る側は不利益を被りっぱなしになってしまいます。
以前「FREE BOOKS」という無料で漫画が読めるサイトが閉鎖された時は、「出版社などからアクセス攻撃を受けてサーバーが耐えられなかった」のが原因なんて言われていたりします。それを防ごうとして、アクセス攻撃用ロボットを遮断するために「私はロボットではありません」ことreCAPTCHAを設置したのでは無いかと思われます。
reCAPTCHAの想起単語を調べていたら「reCAPTCHA クマ」と出てきました。「reCAPTCHA 使い方」とか「reCAPTCHA 仕組み」とかは理解出来るけどクマってなんじゃ?reCAPTCHAってクマがイメージキャラクターなのか?と調べてみたら、漫画村がreCAPTCHAを表示させるときにクマのキャラを使っているんだと知りました。
で、コイツなんて名前なの?
と思って調べても全然出てこない。公式のサイトでは無い場所で「こいつの名前は”らりっくま”です!」とか言う記述を見かけましたが、こんなグレーゾーンなサイトで、イメージキャラが「ラリックマ」ってヤバすぎだろ(笑)そんなわけないじゃん!って思いながら調べ続けた結果・・・・・。
公式ページで「らりっくま」と紹介されているページを見つけてしまいました。こいつ、らりっくまって言うらしいです。reCAPTCHAのキャラじゃないですからね、間違えないように!
このクマの名前ってなんだ?って調べていたら、こんなページを見つけました。
確かに違法性って気になりますよね、NHKの放送で「違法性は無い!」とか言われてましたし。とりあえず公式から引用しておきます。
「よく違法じゃないの?」とか質問が来るから「違法性」についても説明するクマ
漫画村を見るのは違法なことではないんだ。「参照リンク」から引用させてもらうけど「音楽と映像以外の違法ファイルをダウンロードする行為については、違法化の対象外とされている。」とあるので見る行為に違法性は一切ないクマ。
ーーじゃあ「漫画村は違法」って言ってる人は嘘ついてるの?
多分だけど 「漫画村を見る分には問題ないけどにアップロードしてる人が違法だ」という意味だと思うクマ。
漫画村は国交のない・著作権が保護されない国で運営されているんだ。だからアップロードしてる人も違法性のないクマ。
例えば北朝鮮のテレビ番組を日本のテレビが流していることがあるけどあれは許可を貰ってないし貰う必要もないんだ。それと同じことなんだクマ。
もちろん悪意を持って「違法だ」と言ってる人もいるけど無視してあげてほしいクマ。他にも漫画村の名前を使ってアクセス稼ぎをするチンピラもいるから気をつけてクマ。
ま、そんなこんなで。最近何かと話題の「漫画村」ですが、このサイトのおかげでBOTとは無縁だった人たちが「reCAPTCHA」に遭遇したわけです。僕がGoogleのサービスで遭遇したような難問に苦しんでいる人がいると思うとちょっと笑えてきます。
面白い出題があったら教えてくださいね!