生まれた時から、正月といえば鏡餅。なんの疑問もなく、正月に飾る餅のことを鏡餅だって言ってきましたが、どうみても鏡には見えませんよね?
どうやら鏡餅は三種の神器の1つである八咫鏡(やたのかがみ)をかたどったものだそうです。とは言っても、輝けない名ばかりの鏡餅なんてかわいそうだ!そう思った僕は今回、東急ハンズで大枚を叩いて各種のヤスリを購入してきました。
今回は、鏡餅が本物の鏡になるまで、ヤスリで研磨しまくって鏡面加工してみたいと思います。
平安時代にはすでに「鏡餅」という名前で存在していたようで、流石にここまで歴史が古いと名前の由来とかは「〜とされる」「〜と言われている」など、本やメディアによって言っていることは様々です。
一応それっぽいものとして、日本神話に登場した三種の神器の1つである、八咫鏡(やたのかがみ)を形どったものというのがあります。
そもそも昔の鏡は青銅製の丸型だったようで、神事などに用いられていたらしく、一般家庭に青銅製の鏡なんてありませんから、餅で・・・という感じだったのでしょう。
三種の神器といえば、八咫鏡(やたのかがみ)だけでなく、八尺瓊勾玉(やさかにのまがたま)と、草那芸之大刀(くさなぎのたち)ですが、鏡餅の上に乗ってるダイダイが勾玉で、串柿が刀を見立てたものだそうです。串柿はなかなかみる機会が少ないですけどね。
ま、要するに、昔の鏡の形にいてるから「鏡餅」ってことだそうです。
さてさて、鏡餅がなぜ「鏡」と呼ばれるのか、先ほどの説明でようやく理解できたと思います。しかし、正直説明をちゃんと聞かないと、あの鏡餅の見た目から鏡を連想することは無理ですよね。
というわけで、誰がみても「これぞ鏡餅!」っていう鏡餅ができたら面白いと思いませんか?鏡餅に映る自分の顔を想像したら、ワクワクしてきます。
もう、僕を誰も止められない!!
とりあえず、400番〜10000番までのヤスリと、ポリッシングクロスにポリマーを買ってきました。まあ、普通の金属ならこれでテッカテカ間違いなしです。
しかし、今回の相手はモチですからね!どうなることやら。
ちなみに、餅は100円くらい、ヤスリたちは合計で6000円くらいしました。正直、自分の顔をみるだけなら普通に鏡を買ったほうが安いです。っていうか、割とちゃんとした手鏡とか買えそうな金額です。
それでは早速、餅を鏡面加工してまいりましょう!
今ではどこの家庭でもこのタイプですね。
確かに、家庭内に飾るときの利便性や、あとで食べる場合の衛生面などを考えると、普通のお餅を使って飾るよりは良いと思うのですが、なんだか少し寂しい気もします。
とりあえず開封してみます。
僕の実家は、パック餅ではない鏡餅だったので、僕自身がパックタイプの鏡餅を開封するのが初めてだったのですが、このお餅柔らかすぎです。僕の脳内はこの瞬間まで、「鏡餅=硬い」だったのですが、自分の中の常識が完全に覆されてました。
とりあえず、会社のベランダにおいて乾燥させましょう。水分が抜ければ、いくらか硬くなってヤスリがけにも耐えられるはず・・・・・。
カラスに食べられたりしないよね?
なんか、餅が柱状節理みたいにひび割れてるんですけど・・・。さっきまであんなツヤツヤだったのに・・・。まるで、ヘアリーブッシュバイパーやんけ・・・。(ヘビが苦手な人は画像検索しちゃダメですよ?)
しかし、地面と接地してた部分は、それほど乾燥の影響を受けず、いい感じに水分が抜けていると思います。よかったよかった。
このめんを丁寧に磨いて行けば、きっと顔が映るくらい反射するはず!
まずは、小手調べに400番のヤスリで磨いていきましょう。
400番台は、ヤスリの中で比較的細かめとされる分類です。ペンキがけをする前とかに下地を仕上げるのに使う荒さです。
全くヤスれません。
正直、鏡餅がまだ水分を多く含んでいるため、ヤスリがけすると中の水分が染み出してきて、ヤスリに引っかかってしまいネバネバしてきます。これでは、とてもじゃないですが研磨することはできません。
もっと・・・もっともっと乾燥させなければ!
ま、こうなることは薄々わかってましたよ。
なんかもう、この時点で鏡餅ではない別のものになってしまっている感は否めませんが、それでももう僕は止まることは許されないのです!前に進まねばならんのです!!
かなり不安でしたが、試しに400番でヤスリがけしてみたら、びっくりするくらいいい感じにヤスリがけができました。これなら、鏡面仕上げができるかも!?
しかし400番では乾燥による表面の凸凹をフラットにできるほど削れないので、ここで僕はもう一度東急ハンズへ足を運び、100番以下の荒い紙やすりを購入。
さて、金属や木材に付着した塗装を剥がすときにも使われる80番のヤスリ。これさえあれば、鏡餅の形が変わるまで研磨することができます。
参りましょう。
餅粉が大量に生成されていきます。
ちなみに、このヤスリがけに使っているデスクですが、目の前でアベちゃんが新しくきたアルバイトさんに業務指導をしています。ヤスリがけのせいでデスクが大変揺れると思いますが許してください。あとうるさいのも我慢してください。
新しく来たアルバイトさんは、なんでこのモヒカン・・・餅を磨いてるんだろう・・・と不思議そうな顔をしていますが・・・・。
これ、仕事なんで!!
400番台で磨く!これで、公園のベンチくらいの表面の質感になります。
1000番台で磨きます。木工で使用するヤスリの上限がこの辺です。家にある木材で作られたテーブルや椅子などの手触りがこれくらいですね。
1000番台を超えるヤスリは主に、金属や樹脂の研磨に使います。重ね塗りするときの下地調整にも使いますね、一度塗装した面をこすっても色が消えるほど研磨するのが大変なくらいの感じです。
これで、かなりツルツルになります。だんだん鏡餅の表面が翡翠(瑪瑙)のようになってまいりました。
さあさあ、お次は2000番台です。
段階的に表面が「餅ではない何か」に変化していきます。硬さ的にはプラスチックっぽいものを磨いているような感触です。
普通このクラスになると水研ぎ用なんですけど、水を使ってしまうと鏡餅はドロドロになってしまいますからね・・・果たして意味があるのか不安になりながらも3000番を使って研磨していきます。
ついに来ました大台の5000番。
正直、人生でここまでの番手のヤスリを使ったことはありません。もう普通ならピカールなどのコンパウンド(研磨材)を使用しますからね・・・。
でも、研磨剤を使ったら、鏡餅がダメになりそうなので、我慢してヤスリで磨きます。
すると、鏡餅が突如、蛍光灯の光を反射するようになって来ました。
素晴らしい・・・ゴールが見えて来たのでは!?
さてさて、お次は「ラッピングフィルムシート」と呼ばれるヤスリたちの登場です。
ここまでくると、数ミクロンの調整が必要なときに使う微細なヤスリになります。いや、もはやヤスリという言葉は適切でないのかもしれませんね。まあとにかく、コイツを使います。
どんなときに使うかってのはよく知りませんが、僕は1度だけ、万年筆の先端を調整するために使用しました。とにかく、鏡餅を磨くようなために作られているヤスリではないってことです。
今回の上限、10000番のヤスリです。
ここまでくるのに4時間近く餅を磨き続けています。正直、メンタルも手首も限界が近いのです・・・。このヤスリで鏡餅を磨き終われば、きっと顔が映るはず・・・・・。
うーん。なんかこう、全然テカってもないし、反射しそうな気配はゼロだ・・・。まだ上手に作った泥団子の方がテカテカしている気がするぞ?
5000番台のヤスリあたりから、薄々嫌な予感はしていたのですが、研磨すればするほどに鏡餅がシットリして来てしまい、なんだかスムーズにヤスリがけができないのです。
正直、時間も体力も限界だったのですが、なんかこう「諦めきれない」感じが・・・。このままじゃ、記事にしても面白くなさそうだし・・・もう少し乾燥させてやり直すか・・・。
今一度乾燥させた鏡餅を磨きます。
さっきと同じ手順で、さっきよりも愛情を込めて、丁寧に、丁寧に、決して焦らず磨き続けます。心のどこかで、またさっきと同じ結果になるのでは?という不安がチラつきますが、それでも磨きます。
磨く・・・磨く・・・。
ただ、鏡餅が鏡のように反射することを願って、無心で磨きます。
そして3時間後。餅を買い、乾燥させ、結局1日以上の労力を費やした結果!
うーん。ダメだ!
なんかこう・・・パッとしないな・・・。
これさえあれば、どんなものでもテッカテカになる最強のアイテム!仕方ないので、ポリマーを使って、鏡餅をテッカテカにしてやろうと思います。
適量をポリッシングクロスに染み込ませまして、今まで丁寧に磨いて来た餅の表面をポリッシングしていきます。これをすることによって、絶対に食べれない餅になりますけどね!
うお!やっぱすげえ!ポリマーすげえ!
テッカテカになりました。
とても餅とは思えない反射ではありますが・・・この程度?
もう、性も根も尽き果てました。
正直「餅を磨く」のがこんなに難しいことだったとは・・・。
時間もお金も使ったのにお蔵入りしてしまうのは嫌だったので、僕の失敗談として記事にすることを選びましたが、なんかこう・・・残念な結果になってしまい申し訳ございませんでした。
あと、このお餅を作ってくれた農家の人(および工場の人)にも申し訳なく思います。せめて、鏡のように顔が反射してくれれば、お餅も浮かばれるってものでしょうが、これではただ食べ物で遊んだだけ・・・。
とりあえず、写真を合成して雰囲気だけ味わいますね。
さてさて、出社して丸一日の仕事を無駄にしたくせに、ちょっと餅がテカっただけという不甲斐ない結果に終わってしまったので、次回挑戦するときのために今回の失敗をおさらいしておきましょう。
つまり、しっかりと水分が抜けきって、ヒビが入らない、そんな硬質な鏡餅が手に入りさえすれば、磨き抜くことで鏡面のように仕上がるのかもしれません。
そういえば、実家はパック餅じゃなくて、なんか巨大なそのままの鏡餅だった気がします・・・。それに、電動のポリッシャーもあったな・・・。これ、イケるんじゃないか?